企業・団体のコンプライアンス対応

 オンラインカジノが「グレーゾーン」と誤認される背景には、こうした違法性を曖昧にする業者の宣伝手法や、CMの影響がある。

 しかし、上述したとおり、日本の法律ではオンラインカジノへの参加は明確な違法行為だ。2023年のオンラインカジノ関連の賭博事犯による検挙者数は107人。利用者や関連業者の摘発が増加しており、企業や団体も無関係ではいられなくなっている。

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 業務時間中の利用は論外としても、業務時間外にオンラインカジノをプレイした場合でも、検挙されるリスクがある。したがって、企業や団体のコンプライアンス管理者は以下の対応を徹底すべきだ。

・社内ポリシーとして「オンラインカジノ利用禁止」を明言・宣言する
・企業ネットワークからのオンラインカジノへのアクセスを制限する
・従業員や取引先の利用状況を監視し、違法リスクを回避する

「利用監視」と聞くと抵抗を感じるかもしれないが、オンラインカジノに関しては企業・団体のネットワークからアクセスできないようにすることが望ましい。

 さらに、違法性やセキュリティリスクの周知徹底も必要だ。ネットワーク制限をかけても、たとえばVPNを使用して回避するなど、やろうと思えば回避策はある。また、モバイル対応しているサイトであれば個人のスマートフォンからアクセスできるので、業務時間外に社員がオンラインカジノを利用しようとすれば、企業としては制限できる手段はほぼない。

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 結局のところ、技術的な制限よりも、利用者自身が「やってはいけないこと」だと認識することが必要なのではないか。たとえ気軽にアクセスできても、一人ひとりが「オンラインカジノでの賭博は違法行為」と認識することが最も重要だろうと筆者は考える。