日本人の評判が悪くならないよう
紹介できる子は10人に1人以下

「今、ニュースとかで『海外出稼ぎブーム』みたいになってますよね。とくにオーストラリアは最低時給が2300円あまりで、世界でもっとも給料が高い国のひとつとして知られていますから、みんな『日本人はどれだけ稼げるか』という質問をしてくる。でも私がオーストラリアにいたころから“日本人だから稼げる”っていう感覚はなかったですね。だから私は少なくとも手を抜かず働こうと思っていました。英語はへたっぴでしたけど、へたなりに一生懸命コミュニケーションを取ったりして。

 今、ブームに乗って、オーストラリアに行きたいと私に相談してくる子はちょっと感覚が違うなという気はしています。例えば英語を話せない、覚える気もない。カラダさえあればいいんだろう、っていう態度で。どうやって稼ごうと思っているのか、自分のどこを売るのかって聞いても明確な答えを持っていない。

 たとえば、ホストにお金を使いたいから手っ取り早く稼ぎたい、だからさっさと終わらせたい。そんな態度の子と遊んでも楽しくないですよね?それは海外の男性でも同じだと思うんです。せっかくお金を使うなら楽しいほうがいいに決まっている。そういうマインドの子ばかりが働いていたら日本人の評判は悪くなります。だから実際に紹介できる子は、ダイレクトメールを送ってきてここで会った10人に1人もいないです」

 ふと、外を見やると、足早に帰宅するサラリーマンが増えていた。切り上げどきかもしれない。ただ最後にひとつ聞いておきたかった。なぜ取材を受けてくれたのかと。

「なんか面白そうだったから。取材を受けるなんて一生に一度あるかどうかだと思ったんです。知らない世界を知るのもいい経験だし」

書影『海外売春-女たちの選択-』(扶桑社)『海外売春-女たちの選択-』(扶桑社)
週刊SPA!編集部 国際犯罪取材班

 不思議とそれはリサがシドニーの置屋に入るきっかけになった言葉と重なった。

 リサは間違いなく、日本人女性海外出稼ぎの先駆者であり、成功者だろう。

 それは、未知の土地でも物おじしない、彼女の度胸からきているのだろうか。それとも旺盛な好奇心のたまものなのか。持ち前の気立てのよさが引き寄せた“幸運”なのか。

 彼女は別れ際にこんなことを口にした。

「日本人が安くなった……別に悪い話じゃないと私は思いますよ。こうまでしてももはや稼げないなら海外に行く子も減るかもしれない。だって行かないほうがいいに決まってるんだから」