2年目の年初は「990万円の10%=99万円」を引き出すので、運用資産残高は891万円となり、2年目の運用収益率がマイナス5%だったため、2年目を終えた時点での運用資産残高は846.45万円となります。
Bさんのパターンでは、まず1年目の年初に100万円を引き出して運用資産残高は900万円となります。
この年は収益率がマイナス5%なので、運用資産残高は855万円にまで減ることになります。このため2年目の年初の引き出し額は「855万円の10%=85.5万円」で、運用資産残高は769.5万円となりますが、2年目にプラス10%で運用できたことで、2年目を終えた時点での運用資産残高は846.45万円となります。
このケースでは、前半の収益率が低いBさんの場合でも、前半の収益率が高いAさんの場合でも、2年目末の残高が同じになることがわかるでしょう。
次は定率引き出しのシミュレーション結果を見ていきましょう。定額引き出しのときと同じく、65歳から80歳までの15年間、「期待収益率3%、リスク6.2%」のポートフォリオで運用しながら、毎年の残高の4%の金額を引き出すことにします。引き出しを「率」で計算するので、引き出し額は残高によって毎年変わります。
なお、15年間の平均収益率が3%となる場合、「運用による増加分が年3%、引き出しによる減少分が4%」ですから、15年後の資産残高は「1.03×0.96」の15乗で「約0.845」となります。65歳時点で3000万円であれば、80歳時点では約2530万円となる計算です。
計画通りの資産残高になりやすい
定率引き出しは心理的にも安心
繰り返しになりますが、収益率はあくまで期待値なので、15年後に平均収益率が3%に着地しないリスクがあります。そのため、80歳時点の残高が2530万円になるとは限りません。資産残高が、どのくらいの到達確率でいくらになるのかをシミュレーションし、前述の定額引き出しの場合と並べて記載したのが図表20です。