これは「再定義化」(編集部注/商品そのものを変えるわけではなく、別の新しい付加価値を提案することによって商品の使い方を広げる)という方法を使っています。オムライスは本来、食べ物ですが、そこにメッセージボードという付加価値をつけたわけです。
メッセージオムライスは、他にも付加価値化することができます。
たとえば、甘いものを控えている人向けの誕生日ケーキの代わりに、メッセージオムライスを贈る。これは「当てはめ法」(編集部注/以前からあった考えや行動に、商品を「当てはめてみる」ことで新たな付加価値をつくる)という技術です。
ダイエットや美容にいいと、高たんぱく商品が人気になっているところにのっかっていく付加価値化です。
卵の数を選べるとか、具材を鶏もも肉からむね肉やささみに変更できるなど、高たんぱくであることを売りにした付加価値をつくっていきます。
これも「再定義化」という方法を使っています。
他にも付加価値をつくる技術を使えば、付加価値をいろいろ考えていくことができます。
食べたいという軸だけでなく、話したいオムライス、思い出になるオムライス、健康のためのオムライスなど、視点を広げるとオムライスの付加価値がどんどん生まれるのです。
同じTシャツなのに
場所によって売り上げが違う理由
僕は出版社で働いているのですが、以前こんなことを聞きました。
あるアパレル会社と組んでTシャツ付きBOOKが発売されました。販路は書店とアパレル会社のショップです。
売り出してみると明暗が分かれました。
アパレル会社のショップではけっこう売れました。
一方で、書店での販売は苦戦しました。
同じ商品なのに、売れ行きに差が出たのです。
なぜそんなことが起きたのでしょうか?
そのTシャツ付きBOOKの値段は約5000円。
これは僕の仮説ですが、アパレルショップでは他のTシャツに比べて安い商品に見えたのだと思います。また、アパレルブランドのファンにとっては付加価値が高い魅力的な商品にも見えたのだと思います。
一方で、書店では他の本に比べて5000円はかなり高額です。書店にそのアパレルブランドのファンが集まるわけでもありません。
そうなると、付加価値は生まれなかった。
