実際に会うことで、
「心の距離」が近くなる

 私も、企業研修を行うときは、前もってご担当者さまと「実際に会って、話し合う」ように心がけています。
 遠方でない場合には、スケジュールが許すかぎり、メールや電話で打ち合わせをすませることはありません。
 場合によっては、何度も、何度も、ミーティングの機会を持つようにしています。

 なぜなら、人間は「十人十色」といいますが、企業さまもまったく同じだからです。
 企業さまによって「企業研修」に対するご希望が違うので、実際にお目にかかってお話をしてみないと、わからないことがたくさんあります。

 お互いまったく別の人間ですから、「100%伝わるコミュニケーション」は存在しません。
 けれど、100%伝わるコミュニケーションに近づける努力は可能です。そのために必要なのは、ちゃんと「実際に会って、話し合うことしかない」のだと、私は思います。

 メールに依存し、なんでもかんでもメールで伝えようとする方がいます。
 とくに、自分に不都合なときほど(謝罪など)メールですませる人がいますが、メールでは、「微妙なニュアンス」が伝わりにくく、かえって誤解を生じることがあります。

ミス・コミュニケーションを防ぐには、「実際に会って会話をすること」が大切です

 私が尊敬する大学教授は、大学生にアンケートをとって、「メールは、コミュニケーションを円滑にする手段になるか」と尋ねたことがあるそうです。すると、約80%の大学生が「ノー」と答えました。もちろん、私の回答も「ノー」です。

 私は研修中に、次のようなワークを取り入れることがあります。
 受講者同士でグループをつくって、「グループ内の共通点」を探してもらうのです。制限時間は2分間。
 このようなワークをする目的は、「コミュニケーションとは、どういうものか」を知ってもらいたいからです。

 お互いの共通点を探して会話をするので、当然、話は弾みます。
 2分後に、「相手との距離が近くなったと思う人は、手を挙げてください」と言うと、ほとんどすべての受講者が手を挙げます。
 つまり、コミュニケーションとは、「会話によってお互いを理解し合い、相手との心の距離を近づけるもの」だといえるのです。