資料が少ない人物の役を
どのように演じるか?

「無理」は禁物?朝ドラ主演・今田美桜があえて仕事のやり方を“決めこまない”理由【写真ギャラリー付き】今田美桜さん 撮影:ダイヤモンド・ライフ編集部

――今田さんが演じるのは『アンパンマン』のやなせたかしさんを支えた妻・暢さんをモデルとした朝田のぶ役です。『アンパンマン』は観ていましたか。

 小さいときから大好きで、当たり前の存在に感じていました。アンパンマンの歌も自然と口ずさめます。ただ、大人になってから改めて見ると、捉え方も違いますね。

 今回、朝田のぶ役を演じながら、もしかして、やなせさんはこういうことを伝えたかったのかなと思う瞬間があります。逆転しない正義について、生きる喜びについて、深く包み込むように伝えてくださったんだなと改めて感じています。

 やなせさんの言葉で「子どもも大人もおんなじ」というものがあって、本当にそうだなあと思うし、こういう思いに貫かれているからこそ、多くの人たちに長く愛されているのだと感じます。

――『アンパンマン』のなかで好きなキャラクターはいますか。その理由も含めて教えてください。

 ドキンちゃんが大好きです。ドキンちゃんの天真爛漫さや自由さ、たまに毒も吐くところ。それに、しょくぱんまんが好きで、そばにいるとメロメロになってしまう正直さなどが好きなんです。

――やなせたかしさんと比べ、妻の暢さんは資料が少ないようです。朝田のぶという役をどんな人物と捉えて演じていますか。

 実際に暢さんとやなせさんが出会ったのは新聞社ですが、『あんぱん』では幼馴染という設定になっていて、そこはフィクションです。

 すべて史実どおりではなくドラマならではの想像を膨らませた部分もあるとはいえ、やなせさんに比べると資料は確かに少なくて。

 それでも、やなせさんの著書に、時々、暢さんのことが出てくるので、そこから想像を膨らませています。とても懐が深く、やわらかさと強さを持っている人だと思い、大事にしています。

 演じるにあたり、やなせスタジオに伺ったときに、やなせさんと暢さんがお互いを撮り合っている写真を見せていただき、やなせさんと暢さんがお互いに向ける笑顔の表情を参考にしようと思いました。