ご存知の方もいらっしゃると思いますが、私は経済評論家の仕事への投資のつもりでBYDを購入しました。評論家としての矜持があって、私は自動車に関してはすべてのメーカーと距離を置いています。基本はどこからもお金をもらわない立場で自由を確保しています。例外として3年ほど前にトヨタの労組の講演を受けたぐらいです。

それで私が昨年BYDを買ったとき、実は、30年ほど前に外車を購入したときのような経験をすると覚悟していました。そのときに乗っていたイギリス製の車はとにかく壊れやすかったのです。そのせいでただでさえ少ない休日に修理の手間がかかりました。当時の外車は品質では明らかに日本車より劣っていると市場全般で捉えられていたものです。
しかし、BYDを買ってみると品質面ではまったく不満を感じないのです。それはEVが電気製品だからなのか、BYDが例外的に優れているのかは私にはわかりませんが、中国製のテレビや洗濯機を買うのとストレスはまったく変わりません。これは仮説ですが、BYDと他の中国車メーカーを一緒にしないほうがいいと思います。そのようなことにいつ世界中の消費者が気づくのかが日本経済にとっては問題です。
日本メーカーを待ち受ける
「BYDによる支配」の現実味
そのうえでモビリティ業界の未来を考えると、さらに気になる問題があります。EVなのかPHVなのか、ないしは水素なのかといった「方式」の問題が、未来のモビリティ会社の競争には関係なくなってくるのかもしれないのです。それよりも重要度が増しているのが「SDV技術」と「自動運転技術」という別の競争軸です。
実はBYDは最近、先日の決算発表以上に注目を集めた2つの発表をしています。
1つは、最新鋭の運転支援システムである「天神之眼」を大半の車種に追加費用なしで装備するという発表です。
BYDはテスラと同じくSDV技術で世界の先頭を走っています。SDV技術とは簡単に言えば自動車のスマホ化というべき技術で、ソフトウェアをダウンロードすることで車の性能を向上させることができます。