そうなるとモビリティ産業の未来は完全に、今のスマホと同じになります。スマホではiOSとアンドロイドが世界を二分して、スマホの製造メーカーは基本的にはOSを提供してくれるアンドロイド傘下に収まることでしか生き残りを図ることができなくなります。そのうえでアプリの生む利益は開発者よりもiOSとアンドロイドに吸い上げられてしまう構造になってしまいます。
それと同じで世界の自動車はBYD百度方式かテスラウェイモ方式かを選び、その支配の下で主に自動車の生産販売からの薄い利益だけを期待してモビリティ産業の新時代を迎えることになるというのが考えうるうちの一番の悪夢のシナリオというわけです。
最後に苦言をひとつ呈しておきたいと思います。日本の自動車業界で働く人のうちの何人がBYDを買って乗っているでしょう。
国内の自動車の製造販売従事者は約190万人です。一方で、BYDの販売台数が昨年一年でわずか2223台ですから、自腹でBYDを買った人など自動車業界の中ではごくわずか、数えられるほどのはずです。他社のいい車に関心がないのでしょうか。現地、現場、現物の精神が消えて伝聞で論評する人ばかりになったら日本の自動車業界は本当に消滅しますよ。
日本人はBYDについてもっと関心を持つべきだと私は思います。