パサートの半分は中国で売れており、日本にはないセダンもある
F:中国はどうでしょう。パサートの半分は中国で売れているのですよね。
八:はい。割合でいうと中国が一番高いです。
F:そして中国の人は、今でもセダンボディが大好きですよね。セダンなしで大丈夫なのですか?
八:ご指摘の通り中国市場はセダンが非常に強い。ですから中国だけはセダンを現地で生産し、販売しています。
中国にはパサートのセダンがある! ステーションワゴン“だけ”になった新型パサートも、実は中国“だけ”は別枠で、フォルクスワーゲンと上海汽車の合弁企業「上汽大衆」によりセダンボディが生産され、販売されている。
モデルチェンジで大きくなった新型よりさらに大型で、全長は5m超えの5006mm。ヨーロッパ仕様のワゴンより89mmも長い立派なクルマだ。

1970年代、オイルショックの日本でゴルフが大人気に
F:今回パサートの試乗をする際に、背景を調べてとても驚いたのですが、このクルマの累計販売台数は実に3400万台超。日本ではゴルフの陰に隠れて目立ちませんが、実はとんでもない数が売れている。
八:そうなんです。ゴルフの3800万台に対してパサートは3400万台。いずれもビートルの累計販売台数2152万9464台という金字塔をはるかに超えています。しかもゴルフよりもパサートのほうが、実は歴史が古い。パサートの生産開始が1973年。ゴルフはその翌年の74年です。
F:ゴルフの方が圧倒的にバリエーションが多いですからね。それを考えるとパサートは本当によく売れている。
八:はい。そしてゴルフもパサートも、生産開始の翌年から日本での販売を開始しています。
時は1970年代。ドイツのクルマが、生産開始の翌年から早々に日本で販売を始めたのだ。これはひとえに(当時輸入総代理店であった)ヤナセの信用によるものだろう。
それに加えて世はオイルショックの真っ最中。40年の長きにわたり販売してきたビートルよりも、FFレイアウトで燃費性能が格段に向上したゴルフに、輸入車マニアの日本人がワッと飛びついた、というのが真相だろう。