昨年から新NISAがスタートし、少しでも資産を増やしたい人が増えている。だが、統計を見ると、まだまだ投資に踏み切れていない人が多いようだ。
そこで今回は、「読むと人生が変わる」「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書!」と絶賛されている『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリ氏の来日時に独占インタビューを行ったファンドアナリストの篠田尚子氏が初登場。篠田氏はベストセラー『THE ALGEBRA OF WEALTH 一生「お金」を吸い寄せる 富の方程式』著者スコット・ギャロウェイ氏のPIVOT特別インタビューにも成功した。篠田氏は2人のベストセラー著者を短期間にインタビューした日本で唯一の人物かもしれない。そんな篠田氏は『JUST KEEP BUYING』をどう読み、何を学んだのか。特別寄稿・第一弾をお届けする。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

【つい自分を責めてしまう人へ】実は使う人ほど貯められる! 誰でも罪悪感なく「散財」できるシンプルなルールとは?Photo: Adobe Stock

お金は使うためにある!

私は、お金を稼いだり増やしたりすることよりも「使い方」にこそ人間性が現れると考えている。

最近は、新NISAの開始も相まって資産形成の機運が高まっているが、これも究極的には今そのお金を使うか、将来のために一定程度取っておくかの違いにすぎない。
お金は使うためにあるのだ。

とはいえ、現実には「使う」行為というのは罪悪感との葛藤でもある。
とりわけ、おしゃれなベーカリーのパンや、スターバックスのコーヒーなどは、ファイナンシャルプランナーから「削ることができる出費」として一蹴されがちだ。

私もファイナンシャルプランナーの有資格者だが、その出費によって相応の充足感を得られるなら「必要経費」に計上して問題ないと説いてきた。

むしろ、パンやコーヒーで日々の充足感が得られ、仕事の活力になるなら安いものだ。
実際に、お金の価値を理解し、うまく使うことができる人ほど、貯めることも、投資で増やすことも上手にできると私は考えている。

だからこそ、『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』(ダイヤモンド社)の目次に初めて目を通したとき、真っ先に飛び込んできた「罪悪感なしでお金を使う方法」という第4章の内容には強い共感を覚えた。

その章では、どんなに十分な資産を持つ投資家でもお金を使うことには不安を覚え、退職までに十分な老後資金を確保できるか心配しているという研究内容が紹介されている。

著者のニック・マジューリ氏は、「こんな不安を抱えていたら、幸せに生きることなどできるわけがない」と断言し、「罪悪感を覚えずに買い物が楽しめる2つの方法」として以下の2つの方法を紹介している。

1. 2倍ルール
2.「充実感」を第一に考える

この2つを組み合わせれば、罪悪感を覚えることなく買い物が楽しめるという。
1つずつ見ていこう。

富を楽しむための「2倍ルール」とは?

マジューリ氏は言う。

「『贅沢な買い物をするときは、必ずそれと同額の投資をする』――これが2倍ルールだ。
たとえば、400ドルのシャレた靴を買うなら、400ドルの株(または他の投資資産)も買う。
この2倍ルールに従うことで、買い物をするとき、冷静に『自分は本当にこの商品を買いたいと思っているのか?』と立ち止まって考えられる。買い物と投資で2倍の現金が出ていくことになるからだ。」

マジューリ氏が提唱する「2倍ルール」とは、たったこれだけのことだ。
とてもシンプルだが、ファイナンシャルプランナーでは思いつかない、斬新なアドバイスだと思う。

またマジューリ氏は「散財したと思ったら、それと同額を投資に回すだけでなく、慈善団体に寄付してもいい」と述べている。

買い物に対する罪悪感を軽減させることが目的だから、投資に回しても、寄付を行ってもいいというわけだ。

この案に私から1つアドバイスをつけ加えるとしたら、ふるさと納税における返礼品のような、目に見える形での「御礼」が期待できる寄付先は選択肢から外そう。

金銭換算できる見返りがあらかじめわかってしまっていると、頭の中で「いくら寄付すれば……」といった皮算用をしてしまい、本来の目的から外れてしまう危険性があるからだ。

なお、具体的にどれくらいの額を「散財」と定義するかは、年齢や資産状況によって異なるが、金額は問題ではない。

あくまでも重要なのは、「何かを買おうとしたとき、自分がそれを贅沢と感じるかどうか」だという。

10ドルの買い物であれ1000ドルの買い物であれ、2倍ルールに従うことで罪悪感から解放され、富を楽しめるようになる」というマジューリ氏のアドバイスはとても前向きで、心の豊かさにもつながる気がする。

「充実感」を第一に考える

罪悪感を覚えずに買い物が楽しめる方法」の2つ目は、充実感が得られるお金の使い方を優先させるというもの。

具体的には、「一時的な楽しさではなく、いつまでも心を豊かにし続けてくれる充実感に目を向ける」ということだ。

「2倍ルール」と比べるとやや抽象的で、一見とっつきにくいが、これこそが先述したスターバックスのコーヒーの例そのものである。

コーヒーなんてどれも大して変わらないと思う人にとっては無駄に見えても、毎朝スタバのコーヒーを飲むことでスイッチが切り替わり、仕事のパフォーマンスを向上させることができるなら、十分な価値がある。

つまり、重要なのは「何を買うかではなく、どんな基準で買うか」である。
マジューリ氏は、「罪悪感が生じるのは、何かを買うからではなく、その買い物を自分なりに正当化できないからだ。何かを買う正当な理由がなければ後悔する。どれだけ言い訳しても、自分にウソはつけない」と述べている。

ここでもやはり、金額は大した問題ではない。
数百円のスタバのコーヒーでも、ホテルの1万円のアフタヌーンティーでも、長続きする充実感を得られるなら、自分を責める必要はないのだ。

(本稿は、『『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』』に関する書き下ろし記事です。)

【執筆者プロフィール】
篠田尚子(しのだ・しょうこ) 

ファンドアナリスト。CFP®、1級FP技能士
日本で数少ないファンドアナリスト兼FPとして、資産形成の初歩的な解説から具体的な商品の提案に至るまで幅広くカバー。