そうした想定をすると、購入時の利回りは高くないと買いにくい。こうして「安く買いたい」という買い手しかいないのが、不動産投資市場となる。これは1戸だろうが、1棟だろうが同じ話になる。
この市場メカニズムからはずれる投資家には2つの要件がある。1つは、節税対策も目的になっていることで、もう1つはローン金利をかなり低く借りられることだ。この2つを両方満たす買い手もいる。そうした買い手が買う物件は物件規模が大きくなる。
今なら、1戸1億円は下らないし、1棟なら5億円以上になる。つまり、投資用の区分所有のマンションは対象外となるし、1棟でも5億円未満では価格が上がる可能性は低い。
戸建ては建物部分の減価償却が前提
価格上昇の確率は低い
この他、個人が投資できるものとしては戸建があるが、建物部分を減価償却することを前提に住宅ローンや投資用ローンが組まれるので、次に購入する買い手が高く買えることはほぼない。そのため、価格が上昇する確率は低くなる。
最後にまとめておこう。まず、不動産価格のメカニズムとして、減価償却で価格が決まるものは投資対象にならない。その意味で、戸建もアパートも土地を購入しなくて済む地主しか買い手はいない。そうした地主は自分の土地以外には原則興味がない。
節税やローン金利で優遇される買い手になるのは、一等地の区分所有マンションか、1棟マンションになる。今後金利が上がるとしても、自宅購入者を買い手にできるマンションが最も価格が堅調に上がることになる。実際、この1年の金利上昇が0.5%であろうとも、そうしたマンションの値上がり幅は10%を優に超えている。
不動産投資の売却までの事業収支上、物件価格が値上がりしない限り儲かることはないので、この意味でもキャピタルゲインが最も重要な投資基準になるのは変わらない。
(スタイルアクト代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)