そう、法的に「経済的・社会的関係の地位に基づく影響力」で拒否できなければ、性暴力の被害を受けたと認められて当然なわけだ。トラブルが起きた当時の刑法では準強制性交等罪の可否が検討されると思うが、強姦(ごうかん)罪や準強姦罪と違い非親告罪で、捜査当局は告訴や被害届がなくても捜査でき、有罪となれば5~20年の懲役となる。

 それでは、中居氏は今後、どうなるのか。前提として中居氏は示談金として約8000万円を女性側に支払ったとされているので、証拠隠滅や逃亡のおそれはなく、逮捕はないだろう。

 可能性として、警察は(1)何もしない、(2)任意で事情聴取した上で何もしない、(3)聴取の上で書類送検の3つが考えられる。その上で、(3)を受けた検察が(1)不起訴か起訴猶予、(2)在宅起訴-を決めることになる。現実的には、これだけ大きな社会問題になったので、警視庁が東京地検の指示で動くことになりそうだ。

 それでは東京地検が警視庁に書類送検を指示した場合、中居氏が起訴される可能性はあるのか。実は起訴するかどうか明確な基準というものはない。有罪にできる見込みがなければ起訴しないし、証拠が十分でも示談などが成立していた場合、検察官の胸三寸で起訴猶予にすることもありうる。

「例の問題はひと段落かな」
報告書で知った内容に怒り

 今回のポイントとして、4月1日に女性が公表したコメントに「覚悟が感じられる」というのが現場の記者らの共通した見解のようだ。

 女性は代理人弁護士を通じて「報告書で初めて知った事実も多く、あらためてやりきれない気持ちにもなっています」と心境を吐露。その上で「私が受けた被害は一生消えることはなく、失ったものが戻ってくることはありません。このようなことが社会全体からなくなることを心から望みます」と訴えた。

 努めて冷静に見えるが、事件を長く取材してきた記者なら「強烈な怒り」がにじみ出ていると感じるはずだ。通常の性犯罪の示談金は200万~300万円、加害の態様やさまざまな背景があっても多くても500万円というのが相場だ。

「約8000万円」との週刊誌報道を見て、そうした事情を知っている方なら驚いたに違いない。今回、女性は示談契約の守秘義務の解除に応じて第三者委員会のヒアリングに応じた。これは、返却しても構わないという意思である可能性もある。

「報道で初めて知った事実」とは、中居氏とフジ側の証拠隠滅を指すと見られている。中居氏は某社員に「(女性から)連絡があり、摂食障害と鬱(うつ)で入院。やりたい仕事もできず、給料も減り、お金も無くあの日を悔やむばかりと。見たら削除して」「どうしようか」とメール。それを受けた社員は「なかなかですね、、私から無邪気なLINEしてみましょうか??」などと返信していた。

 女性の退職後、社員は中居氏に「例の問題に関しては、ひと段落かなと思います。引き続き、何かお役に立てることがあれば、動きます!」と連絡。やり取りは知らずとも、こうした状況を察知した女性は「会社は守ってくれない」と達観していったのは必然だ。