「あ、こういう風に使ってきたんだ」
八:デュアルソレノイド式と言われる、ソレノイドバルブが2コ付いているダンパーです。サプライヤーは日本のカヤバさん。車体の大きなクルマに使うと、悠々たるフラット感を出すことが可能になります。もちろん制御の技術はフォルクスワーゲンが自分で造っています。カヤバさんはハードウェアとして供給していただいています。
※ソレノイドバルブ:ソレノイド(電磁石)の力を利用して弁の開閉を行い、液体や気体の流量を制御する電気機械的バルブ。電磁弁。
※カヤバさん:カヤバ株式会社。KYBブランドで知られる日本の油圧機器メーカー。4輪用ダンパー世界3位。建機用油圧シリンダー世界首位。積極的な自社株買いを絶賛実施中。トランプ関税の暴風雨にも巻き込まれず、株価堅調。
F:なるほど。供給されたハードをどのように味付けするかは、各メーカー次第ということですね。
八:その通りです。カヤバさんも、「味付けの部分に関しては把握していない」と言っています。だから仕上がったパサートに試乗されたら、「あ、こういう風に使ってきたんだ」とおっしゃったそうです。
ウチとの独占契約ではありませんから、同じハードウェアを他社さんにも出しているのですが、会社によってそれぞれ味付けが全然違うということです。正直な話、デュアルソレノイドはコストの張る購入部品です。我々のようなボリュームゾーンのブランドには、今まで使われてきませんでした。
F:メーカー本社ではなく、インポーターの人もサプライヤーと話をすることがあるのですか?
八:もちろんです。カヤバさんに行って、実際にトレーニングを受けて、実装された車両にも乗って試して。
F:インポーターはそんなことまでするのですね。ただ輸入して販売するだけではないんだ。知らなかった。
八:日本のサプライヤーさんで、我々が日本の法人だからできたことなのかもしれませんが。
今年のフォルクスワーゲンは新車攻勢
F:今回のパサートは小出しにせずに、パワートレーンも駆動方式も一気にドンと出したと伺いましたが、この中でどの車種が売れていますか。人気のエンジンはどれですか?
八:今はまだお答えしづらい段階です。というのも、まだローンチして日が経っていないので、最初に我々が用意したクルマが順番に納車されている状態なんです。実際のオーダーの数がどのぐらいなのか。お客様の自発的なオーダーがどのぐらいなのか。正確にはまだ分からない段階なんです。
F:なるほど。何にしても売れている。好調と言えますか?
八:おかげさまで計画を上回るペースで売れています。
F:なるほど。素晴らしい。フォルクスワーゲンは今年勝負を賭けている感じですよね。ものすごい新車攻勢。
八:そうなんです。去年の7月に、2024年から25年にかけて売り出すクルマを一斉発表という形にさせていただきました。T-Crossとゴルフとパサートとティグアン。これらが一斉に来ますよ、と。