F:本社の方で、何か企みとか仕込みとかがあるのでしょうか?

八:意図的ではありません。いろんなクルマのローンチが、たまたま今年に集中したということです。

F:たまたまにしても、会社的には盛り上がりますよね。

八:それはもう盛り上がります。ローンチが重なると、やる方としてはメチャ大変なのですが、大いに盛り上がっています。

2015年のディーゼル不正事件以降、日本市場のシェアは激減

F:せっかく盛り上がっているところに申し訳ないのですが、事前の質問状にも書いた、ちょっと嫌なことを伺います。2015年のディーゼルゲート事件。

※ディーゼルゲート事件:フォルクスワーゲンが、ディーゼルエンジンの排ガス規制を不正にすり抜けた事件。台上試験機で排ガスを計測しているときだけ規制値をクリアし、実走行時は排ガス浄化機能を低下させて、燃費や出力を向上させる違法ソフトを搭載していた。この事件以降、フィルクスワーゲンは日本でのシェアを急落させた。

F:事件前の全盛期と比べると、我が国におけるフォルクスワーゲンの販売台数は2分の1にまで落ちたままで回復が見られない。先進国で、ここまで「落ちっ放し」の国は珍しい。どこもほぼ元通りに戻っています。

八:コロナがあって、半導体はじめ様々なパーツのサプライチェーンが破綻して、どこのメーカーも販売台数を落としました。2020年を起点にして見ると、2023年まで右肩上がりに伸びています。

F:それでもピーク時の半分以下です。ここまで落ちている輸入車は他にない。

八:減り続けているとか、減ってしまったままであるとか、そのような状態は数字からは見受けられないと言うのが私の見解です。正常に戻ってきてはいるんです。数で言えば。

F:例えば日本でトップシェアを争うメルセデスやBMWの現在が、ピーク時の半分以下の状態にあるでしょうか。そんな会社はありませんよね。