コロナ禍、半導体不足、ウクライナ戦争による「供給問題」?
八:2015年に事件が起きて、翌16年になるとマイナス15パーセントぐらいになりました。ですが17年、18年には5パーセント、10パーセントと戻ってきているんです。戻ってきていたのですが、19年末にコロナが始まった。
20年にはもう供給不足問題です。パーツが造れないのでクルマが出せない。受注ばかりが積み上がっていって、モノが来ない。結果的に登録台数が落ちてしまった。車体はほぼ完成に近いのに、シートベルトの受け金具が無いとか、パワーシートのモーターがないとか。そんなもどかしいこともあって。
F:ピーク時からの半分という現状を、どのように分析されますか?モノがなかったから、コロナだったから台数が減りました。でも復調基調にあります、というのはお話として弱い気がするのですが。
八:社長が記者さんに答えるみたいなシーンですと、「供給問題から回復できていない」というのが実態としてあります。半導体不足、ウクライナ紛争が加わって……ウクライナで造られるパーツもありますから。モノが来ない。クルマが造れない。だから売れない、という。
F:受注残が山のようにあるということですか? 受注はあるのに、モノがないからクルマを出せない、と。
八:そうですね。常に受注残は相当数あります。
F:供給不足で出せないというお話からすると、売れているクルマの倍の数の受注残があるという事になりますが……。
八:受注残は結構あります。
F:部品さえ届けばここまで悪くないですか?
八:悪くないです。
F:なぜフォルクスワーゲンだけが供給不足に喘いでいるのでしょう。他社はすでに元に戻っています。
八:グループが大きいので共有範囲も大きいからです。ここからは私の推測になりますが、広範囲にグループの中でシナジー効果を出そうとしていますので、パーツにしても何にしても。我々の場合100万台分確保できれば良いというわけではないんです。800万台分の確保をしなければいけないのです。グループの規模が大きいので、一度大打撃を受けると再起動にものすごく時間がかかる。この点はご理解いただきたいと思います。