
上場会社の監査を担う公認会計士は、決算期ごとに監査を行い、健全な市場の維持に務める「市場の番人」だ。その番人の報酬は企業から得る監査報酬。では、最も多くの監査報酬を獲得した公認会計士界のトッププレーヤーは誰なのか。全上場会社の有価証券報告書に開示されている数値を集計し、各公認会計士が獲得した監査報酬額を推計。実名、実額による「監査報酬獲得額」ランキングを作成した。特集『公認会計士「実名」「実額」2364人ランキング』の#1では、ベスト30を公開する。(ダイヤモンド編集部副編集長 片田江康男、データ担当/編集委員 清水理裕)
上場会社の監査報告書に署名する
2364人の頂点に立つ公認会計士とは?
会計と財務、税務の専門家である公認会計士。監査法人に勤務したり独立開業したりするだけでなく、金融機関やコンサルティングファーム、上場会社の財務部門や内部監査部門など、能力を発揮できる場は多岐にわたる。
だが公認会計士の本流ともいえる職場は、やはり監査法人であり、その中でも特に重要な仕事が上場会社の監査を担う監査証明業務だろう。監査によって投資家や債権者を保護するという、公認会計士法第1条で記されている使命を最も体現できるからだ。
では、その本流で監査証明業務を担う公認会計士の中の、トッププレーヤーは誰なのか。
ダイヤモンド編集部は、各上場会社が有価証券報告書で公開している「監査証明業務に基づく報酬」を、その企業の監査報告書に署名している会計士の人数で割り、各公認会計士の報酬獲得額を算出。その額を公認会計士ごとに集計して「監査報酬獲得額」とし、額が多い順に並べランキングを作成した。
ランキングを見る上で注意したいのは、監査報酬獲得額がその監査を行った公認会計士の年収とは直結しない点だ。多くの監査法人にはそれぞれ報酬制度があり、それによって公認会計士の年収が決まっている。
また、実際の監査証明業務は、監査報告書に署名した公認会計士だけで行われているわけではない。海外を含め子会社や拠点を多く持つ上場会社であれば、署名している公認会計士以外に、若手公認会計士や専門性を持つスタッフら数十人が関わっている。各公認会計士の監査報酬獲得額は、署名した公認会計士の力だけで獲得したとは、必ずしもいえない。
それでも本特集で、署名した公認会計士が監査報酬を獲得したと見なしたのは、署名した公認会計士は個人として、訴訟リスクや金融庁からの処分リスクを負っているためだ。
監査報酬を多く稼ぐ者は、監査法人にとって売り上げ貢献度が高い超重要人物と言い換えることができる。ランキングの対象とした公認会計士は2364人。その中でトップとなったのは誰か。次ページでベスト30の実名と実額を公開する。