ステップワゴンの話に戻ると、弱点は乗り心地の粗さ。第5世代後期型の標準型、1.5リットルターボモデルでドライブした時に、6人乗車+りんご100kg+大荷物を積んで長距離ドライブをしたことがある。空気圧を高く設定したにもかかわらず、路盤の継ぎ目、舗装の陥没やひび割れ、老朽化で目が粗くなったコンクリート舗装などでも滑らかな乗り心地が維持され、同乗者が驚嘆したほどだった。
そういうテイストを味わったホンダファンは当然、第6世代にそれ以上のものを期待する。しかし、残念ながら期待に応えるチューニングではなかった。同乗者のひとり(第5世代のドライブにも帯同した人物)も、まったく同じ感想を述べている。

燃費は旧型から1割以上アップ
ドライブ通算で20km/リットル超を記録
現行ステップワゴンのパワートレインは、1.5リットルターボ+CVT(無段変速機)と、2リットル自然吸気+2モーターのハイブリッド「e:HEV」の2種類がある。今回の試乗車は後者だ。
2リットル間接噴射式エンジンを動力源とするハイブリッドシステムは、第5世代に搭載されていたもののプチ改良型。直噴エンジンを組み合わせる「シビックハイブリッド」「ZR-V」などに積まれる最新バージョンより1世代古い。
筆者は2018年に第5世代ステップワゴンのハイブリッド「i-MMD(e:HEVとリネームされる前のホンダ製2モーターハイブリッドの名称)」を、3300kmほどテストドライブしたことがある。その時の通算平均燃費は18.1km/リッターで、長距離走行区間でも20km/リッターは一度も越えられなかった。
第6世代のハイブリッドシステムはその第5世代と同一システムなので、燃費には期待していなかった。ところが実際に運転してみると通算平均燃費の実測値は20.2km/リッターと、旧型比で1割以上の向上を果たしていた。
長距離走行時の燃費は、新東名120km/h区間を速い流れに乗ってクルーズした時を除き、一度も20km/リッターを割らなかった。最長無給油走行距離は、鹿児島から山陰道経由で愛知県名古屋市西部に到達した1138.8kmで、実測燃費は22.6km/リッターだった。
燃費改善が最も顕著だったのは市街地走行。鹿児島市街地は道路事情がきわめて悪く、流れがスムーズな時でも平均車速が20km/hを切り、混雑すると15km/h以下になってしまう。また、海岸線を走る時以外は標高差100~200mの上り下りが常に付きまとう。筆者のドライブ経験上、どんなクルマでもロクな燃費が出た試しがない。
第6世代ステップワゴンはその市街地を15km/リッター台(第5世代は11km/l台)で走り切った。市街地燃費のおかげで、郊外走行を含めた鹿児島・宮崎エリア滞在中の総走行985.0kmを、無給油で乗り切ることができた。
この結果は、新世代のハイブリッドシステムを積み、ステップワゴンより270kg軽いシビックに対して約1割のビハインドにとどまる。同じく新ハイブリッドシステムのZR-VのAWD(4輪駆動)のスコアも上回る。旧式システムでも熟成を図れば、総合力でここまで行けるものなのだなと感銘を覚えた。