退職した専務のための
参考にならない報告書

 リーダーが無意識のうちにやりがちな余計な仕事は、主に次の5つです。

1 自己満足の仕事

 資料を作成する際、色遣いを華やかにしたり、細かく図表を作ったり、フォントの大きさや種類にこだわったりするなど、必要以上に労力を割いて取り組むことです。

 コンペであれば、デザインが重視されたりする場合もあるでしょう。しかし、社内資料など、デザインがさほど求められないときにまで同じように時間をかけて作っていては、時間と労力のムダ遣いであり、余計な仕事となるのです。

2 部下だけで決定できる仕事への関与

 部下が進めているプロジェクトの管理もリーダーの仕事です。

 だからといって、部下だけで完結できる仕事や意思決定できる仕事にまで口を出していては、いつまでたっても部下は成長しませんし、その結果、仕事の進行が遅くなってしまったり、余計な手順が増えてしまったりすることにもなります。

3 念のための仕事(社内への過剰アピール)

「リーダーとしてきちんとしていると思われなくてはならない」という焦りと不安を払拭(ふっしょく)したい気持ちから、過剰に仕事をしてしまうことです。

 会議用の資料に、「念のために」と意思決定に必要ない情報を記載したり、上司がちゃんと自分の頑張りをわかってくれているか「念のために」確認する打ち合わせなどです。

4 やる理由のない仕事

「決まっているから」「前からそうしているから」といった理由で行われている仕事の中には、もはや「やる理由がなくなっている仕事」もあります。

 以前、業務改善のコンサルティングをした会社には、「専務しか見ない報告書」というものが存在していました。その専務は2年前に定年退職していたのに、です。

 記入する項目が多い書類も、1つ1つ見ていくと、誰も参考にしない「書く必要がない項目」が紛れていることもあります。些細ですが、積み重ねたらかなりの時間になります。

5 アリバイづくりの仕事

「申請書類の書式を変える」「業績アップ・部下の成長につながらない見せかけの研修の実施」「不要なマイクロマネジメント」などムダな業務があります。「結果よりプロセスが大事」なのは確かですが、結果につながらないプロセスは何の意味もなさないでしょう。

 余計な仕事=やらなくていい仕事を「やらない」だけで、忙しさは緩和されます。

 1日に仕事に費やせる時間は決まっています。

 新たに仕事が1つ増えたら、既存の仕事を1つ減らしましょう。

Point
余力があっても「一増一減主義」で仕事を整理し続ける