狭い道を苦労しながら運転
幼少期に見た風景が開発の原点
約14年にわたり、クルマのパーツなどを企画・開発する会社を経営してきた楠さんは、2018年から「くっすんガレージモーターズ」(登録者数21万人超)というYouTubeチャンネルを運営。車やバイクのカスタム情報を発信する中で、いつしか自分たちでオリジナルの小型モビリティを作ることが夢となりました。そして、21年から開発を始め、24年8月、ついにmibotの予約開始にこぎ着けたのです。
広島県呉市出身の楠さんは子どもの頃から、狭い道や坂道が多い地元を、クルマをぶつけないように苦労しながら運転する人たちを目にし「もっと小さなクルマがあったらいいのに」と漠然と思っていたそうです。
「YouTubeチャンネルで仲間や支援者を募り、自分たちでオリジナルの小型モビリティを作ろうと事業に着手する際に、改めて皆さんがクルマをどうやって利用しているのかを注視してみると、多くの人が一人乗りで移動していました。国土交通省のデータを調べてみると、クルマ移動の約7割は『1人利用、10km未満の短距離移動(国土交通省における超小型モビリティの取組について)』が占めていたのです。これでは、軽自動車でもオーバースペックであり、コストやエネルギーの無駄が多く発生しています」
そこで、車の利用実態にマッチしたモビリティを開発しようと考え抜いた結果、1人乗り・短距離移動に特化したミニマムモビリティのmibotにたどり着きました。
ランニングコストを原付並に抑えながら、クルマのように快適に乗ることができるというメリットの他にも、超小型EVにはさまざまな利点があります。
まず、環境負荷が低いことです。1人乗り・短距離移動に特化した超小型EVは、小型で軽量なのでエネルギーを無駄に使わず、環境性能に優れています。超小型EVは、ガソリン車に比べて走行時のCO2の排出が少なく、ガソリン車から超小型EVに乗り換えることで、CO2の排出量も抑えられます。
次に、細い道もスイスイ運転でき、駐車スペースも狭くて済むこと。日本は狭い道が多く、軽自動車でも運転に注意が必要な地域が多くあります。そんな日本の道路環境では、1人乗りの超小型EVを使うことで、運転が苦手な人でもラクに運転できます。また、車両サイズが小さいため、自宅や職場などの駐車スペースが少なくて済むのも嬉しいところです。
充電は家庭のコンセントの使用が可能。超小型EVには家庭用の100Vアース付きコンセントで充電できるものが多く、例えば、日中に通勤などの近距離移動で利用し、夜間に自宅で充電するという乗り方ができます。ガソリンスタンドに行って給油する手間を省くことができます。
