わが子の塾選びに悩む親は多い。つい塾の広告に躍る難関校の合格実績から判断しがちだ。しかし、子どもの学力や志望校を鑑みて、その塾が最適とは限らない。「難関校よりも中堅校に強い」「特定の中学校に強い」など、塾それぞれに強みがあるからだ。そこで、特集『わが子に最強の中高一貫校&塾&小学校』(全46回)の#15では、首都圏の主要26塾について、直近2024年入試を含めた過去15年分の合格実績を大分析。子どもの学力を伸ばせる塾の「合格力」ランキングを明らかにする。(ダイヤモンド編集部 宮原啓彰)
最新入試結果を含めた15年間の合格実績は?
塾の広告からは見えにくい真の実力を丸裸に!
インターネット広告や新聞チラシ、駅前に軒を連ねる塾の看板……。子どもが小学3~4年生になり、中学受験を決心した家庭の最初にして最大の関門が塾選びだ。晴れて「二月の勝者」になるには、塾選びが決定的にその勝敗を左右する。
そこで長年、中学受験塾の情報を収集、分析する中学受験カウンセラー、石田達人氏の協力の下、首都圏主要塾の直近2024年入試の合格者データを大分析し、塾の「合格力」ランキングを作成した。
気を付けてほしいのは、ランキング上位ほどわが子にも良い塾とは限らないことだ。より重要なのは、子どもの現時点の学力や志望校、性格次第で、相性の良い塾が変わる点だ。
また、塾選びにおける最大の指標となる、各塾が公表する合格実績データにも要注意。全国学習塾協会は、合格実績として公表できる生徒の範囲の自主基準を定めているが、順守義務はなく、合格者数のカウントに際して一種の水増しを行う塾も少なくない。
本稿でも塾が公表する合格者データを基に分析を行うが、それは残念ながら各塾の公表実績を見る以外に力量を測る方法がないからだ。それでも各塾の合格実績の長期トレンドや特徴を縦横に比較すれば、お得意さまの学力層や特定の学校への強さなど、さまざまな真の実力に迫ることができる。
なお四谷大塚の実績数は、データ取得時点(3月18日)で合格者の全数が公表前のため、判明分のみを掲載しているが、最終的に合格者総数を公表する四谷大塚と違って、偏差値の下位校を中心に合格者数をあえて公表しない塾もある。裏を返せば、そうした塾の生徒や保護者に対する姿勢が透けて見えよう。
次ページでは、首都圏の主要18塾の合格校の平均偏差値を求めた「『合格力』ランキング」をはじめ、主要26塾がどの偏差値レベルの中高一貫校にどれだけの合格者を出しているかの割合を算出した「学校偏差値ランク別合格者ウェート」、「合格力と塾の規模の相関図」、さらには一都三県に茨城県を加えて「有名中高一貫校における主要塾の合格者数」など、いずれも塾選びに役立つ五つの図表を一挙掲載。塾最新情報と、これらの図版にわが子の学力や志望校を当てはめて考えていけば、子どもと塾の致命的なミスマッチは起きにくくなるはずだ。
では、少数精鋭塾として知られるエルカミノを抑え込んで首都圏の合格力1位になった塾はどこなのか、さっそく見てみよう。