そういえば、こんな相談をいただいたことがあります。
「内科医の父が地方で開業をしています。もう70代も半ばなのですが、やめる気配がまったくない。子どもとしては、もっと休んで、好きなことでもしてほしいなと思うんですけど、仕事が好きだから仕方ないんでしょうか」
これもよくある話ですよね。
士業の難しいところって「仕事が好きで好きで……」という方が一定数いる点です。医者や弁護士なんてとくにそう。「職務だから」というレベルを超えて、「患者さん(クライアントさん)に慕われて、とてもやめられない」と感じている人も多いのです。
そんな方に「もう年も取ったんだから、趣味の世界に入ってゴルフでも楽しめば?」とか、「お金も十分貯めたんだろうから、もう仕事をやめてもいいんじゃない?」などと投げかけるのは愚問です。仕事を心底好きな人にとって「趣味の世界」「お金」などというワードはまったく刺さらないからです。
今の60代は
再就職先に苦労しない
そもそも仕事好きな人は、趣味にお金を使わない方も多い。ゴルフ三昧なんて考えず、仕事を続けることで、かえってお金がどんどん貯まってしまうのです。
けれども、そんな生き方って最高ではないでしょうか。好きなことに一生携われる、しかも報酬もきちんと得られ続けているというのは、やはり幸せなことです。
ですからオファーが続く限り打席に立ち続けるべきなのです。ムリに引退を考えたり、勧めたりする必要はありませんよ。
私だって、オファーが来る限りは仕事を続けるつもりです。高齢になっても打席に立ち続ける限り、ホームランやヒットのチャンスは増えていきますからね。
「資格」の話をしてきましたが、じつは、60代は「再就職」という面でも、まだまだ仕事を選べる時代なのです。
あなたは、井の中の蛙になっていませんか?広い世界を見て、再就職の可能性をもっと広げてみましょう。
今の60代は、とにかく人手不足のおかげで仕事を選べる立場にあるのです。収入を気にしなければ、選択肢は広がるばかりです。
60代からの再就職を考えるうえで、まず重要なのは「お金を取るか、ストレスフリーを取るか」です。「もうそこまでお金はいらないな」という場合は、煩わしい人間関係のない仕事を選ぶこともできます。年収100万~200万円の新天地で働くほうが、よい人生になるかもしれません。