Z世代若者のホンネ
遠い国・地域に行きたい!
一方で、Z世代に具体的な国・地域名をあげて「旅行先として行きたい国」を聞くと、平均8.5個の国・地域名がチェックされ、ハワイ(37.3%)、フランス(30.7%)、イタリア(30.5%)、アメリカ本州(30.5%)、イギリス(29.8%)がトップ5となった(SHIBUYA109エンタテイメント調べ)。

拡大画像表示
若者も、ホンネでは行けるものなら遠い国・地域に行きたいことがうかがえる。
繰り返しになるが、日本のパスポートは最強で193カ国・地域も行ける。旅行先として選ぶ国・地域はもっと多くていいはずだ。
旅行会社や航空会社
供給やPRに課題は
海外旅行先の偏りが起きる原因は何だろうか?背景には、旅行会社や航空会社の供給やPRに課題があるのではなかろうか。
Z世代は、ネットの情報量が少ない事柄には積極的に行動しないという。それならば旅行会社や航空会社は、若者により網羅的かつ深い情報を提供すべきではないだろうか。もちろん、SNSや動画サイトなどを駆使し、個人の体験など身近な例を交えてだ。
筆者が思うに供給サイドは、以前はビジネスマン、最近はインバウンドばかり注力して、日本の一般旅行者への戦略や情報発信が乏しくなっている気がしてならない。
日本人の海外旅行が増えないと、旅行会社や航空会社の経営は浮かばないはずだ。特に中国の不動産バブル崩壊と就職難、米国のトランプ関税による景気後退の流れは、インバウンドに浮かれる最近の観光関連産業にとって大きな打撃になり得る。
米中対立は世界経済に混乱をもたらしている。円安効果でインバウンドがひっきりなしという状況も、いつまで続くか分からない。人気観光地のオーバーツーリズムも深刻だ。日本の観光業界はいま一度、日本人の旅行が多様化するように力を入れてもらいたいものだ。