「ないないづくし」の意味を聞くと、「意味のない会議、楽しくない接待、トップの訳のわからない指示、能力のない管理職」でした。私は思わず口から、アイスコーヒーを噴き出しそうになりました。ですが、この手の話は嫌いではないので、やじ馬根性丸出しで、具体的に根掘り葉掘り聞きました。40年以上ビジネス現場を生き抜いてきた方なので、私には臨場感あふれる時間でした。別れ際に、「感情を決して表には出さないことですよ」と貴重な助言をいただきました。
それから数日後、私も「楽しくない会食」を経験することに。今は東京の本社で取締役に就かれている元札幌支店長の方から、新任の札幌支店長が元部下なので紹介したいという旨の連絡をいただきました。札幌支店長時代には、これまた学生の就職でお世話になった方でした。氏の札幌出張に合わせて、私の方で昼食のお店を予約しました。
氏から新任の支店長を紹介されて、まずは型通りの名刺交換をしました。「頭を下げない人だな」との第一印象を持ちました。私が最も不愉快に感じたことは、食事の時の新支店長の表情でした。私と氏で話が弾んでいるときに、話の中には入ろうともせず、ただ食事をしているだけ。食事を終えた後もさめた感じで、氏が共に仕事をした昔話をすると、「そうでしたねえ」と、事務的に返すのみでした。

私が話題を向けても、最低限の返事だけで、「孤食」がお好きな方なのかもとも思いましたが、「嫌だったら、さっさと帰れ」と、私は心の中で叫びました。
気配りもなく、お茶のお代わりや食後のコーヒーを私が頼む羽目になりました。最後は形だけのお礼で終わり。私が会食代を負担しましたが、後日にお礼の電話やメールがあるはずもなし。企業人としては非常識極まりなし。まあ、それは人間性の問題もあるでしょうが。
あくまで邪推ですが、本人は元々会食する気などなく、かつての上司に誘われたから仕方なく同行したと、受け止めました。身銭を切って、気を遣って、不機嫌な時間を過ごしたと考えると、むなしくなります。けれども何かを得たと考えれば、貴重な時間でしょうか。今回は「表情も身だしなみの1つ」ということを改めて認識することになったのですから。