内容や機能のレベルがほぼ同じなら、体験価値や利用価値、あるいは金銭価値で人は評価します。それらは多分に「感動した」「便利だった」「安かった」などといった感情や情緒で判断されるため、感動しなかったり、不便だったり、高かったりした場合は、悪い噂となって発信されやすいのです。

 消費者が高価な代償を払って手に入れるサービスや商品の場合は、高い料金を払ったことへの言い訳を考え、良い部分を見つけて我慢しようとするため、不満はあっても悪い噂が発信されにくいということも心に留め置いていただけたらと思います。

「好意の返報性」を活用
ほめる、譲る、開示する

 心理学でよく登場する「好意の返報性」。これは、相手から何らかの好意や親切を受けた場合、そのお返しやお礼をしたくなることを指します。

 百貨店やショッピングモールなどの洋服売り場で、何度も試着をさせてくれたうえに、「こちらのほうがお似合いでは?」などとアドバイスもしてくれる店員がいたら、思わず買ってあげたくなります。

 また、何かの際にギフトをもらうと、「こちらも返さなくては」という思いになります。これが「好意の返報性」です。

 恋愛の場合は、自分が好きになっても、相手が好きになってくれるとは限らないという問題があります。

 ただ、ビジネスでは、「好意の返報性」は毎日使える法則、もっと言えば、いつでも誰に対しても有効な、人間関係を良好にするための鉄則と言っていいと思います。

 いくつか例を挙げてみます。

職場で「好意の返報性」を活用する方法

・相手をほめる、感謝の気持ちを伝える
 ほめられた相手は、同じようにあなたの良い部分を評価しようという気になり、相手がしてくれたことに感謝の気持ちを伝えれば、相手は何か手伝ってあげようという気になる。

・相手に譲る
「我先に」ではなく、まず相手に譲歩する、あなたから先に足を運ぶようにすれば、次は相手が譲歩してくれたり、出向いてくれたりする可能性が高くなる。

・自分を開示する
 まず、自分から心を開けば、相手も打ち解けようとしてくれるようになる。