バカ取締役たちは社長の暴走を止められないのか。自分の身がかわいいか。私たちの頑張りで御殿場なんか助けるな。どうして鹿沼で富士山ラスクをうらないといけないのか。経営センスはあるのか。酔狂には付き合えない。やったことは子供じみたことばかり、幼稚園なみのバースデーランチ。手紙をくれているけど私たちの何が分かっているのか。サンクスカード。ディズニーランドで集会。何かあるたびに鶴雅、鶴雅。結論はあなたが鶴雅に人事異動してもらうのが、お客さんと従業員のためには一番ベスト。言っておきますけどこれは私ひとりの意見ではない。本音で署名なし丸バツでアンケートでもしてみたら分かる。いなくなってくれ。本部も必要無し、仕事をつくるだけ」
(編集部注/鶴雅は、温泉旅館、ホテル、レストランなどを経営する、鶴雅グループのこと。その経営指針から、福島社長は学んでいた)
「誰が書いたんだ」
管理職を緊急招集する
文書を持つ手が震えていた。
悲しみ、悔しさ、怒り。それぞれが混ざり合ったようなやるせなさがこみ上げてきた。
しかし、不思議と涙は出なかった。感情的な自分をA面とすれば、B面の合理的な自分がこの文書をどう処理すべきかを冷静に考えていた。
こんな文書を書いた本人に、どうけじめをつけさせればいいのか。「こんな文書が独り歩きしたら、頑張っている社員に迷惑だ」という義侠心にも駆られ、ふつふつと義憤が沸いた。そして頭の中で「どこの誰が書いたんだ」という犯人捜しが始まった。
文書の内容から鹿沼72カントリークラブの社員であることは間違いない。数日前に鹿沼72カントリークラブの役職者会議で部門コミットメントの進捗確認をしたばかりだし、富士御殿場ゴルフ倶楽部の支援もそのとき議題に出ていた。
鹿沼72カントリークラブに行き、すぐさま支配人を呼び出した。文書を見せた瞬間、いつも淡々としている瀬崎支配人がギョッとした顔に変わった。