子育てとは、子どもに同じことを何百万回も言う生活! 誰がやってもそうなるので、どうせ言うなら楽しく言おう
【総フォロワー数31万人】長年の教師生活で多くの親と接したなかから生まれた、熱い思いの詰まった言葉を365個掲載した書籍『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』が、あらゆる年代の親に刺さると話題。親力アドバイザーとして名高い教育評論家の親野智可等氏がいま子育て中の人に伝えたいことがあります。

【実例】「言うことをきかない子」が自然と動く伝え方、2つのポイントPhoto: Adobe Stock

 子育て中の親御さんは「子どもに何か言ってもやってくれない」と感じることが多いと思います。やってくれないどころか、反発してくることもあるでしょう。

 では、なぜそうなってしまうのでしょうか?
 一つの理由は、「否定的」で「抽象的」な言葉を使っているからかもしれません。

 もしそうなら、言い方を少しだけ変えて「肯定的」で「具体的」な言葉にすることをお勧めします。
 例えば「こぼしちゃダメ」は否定的で抽象的ですが、「お椀を持って食べると食べやすいよ」にすれば肯定的で具体的になります。

 前者のように否定的に言われると、子どもは自分が否定されたと感じて不愉快になります。
 後者のように肯定的に言われれば、子どもの気持ちは前向きになります。
 また、前者のように抽象的に言われても、子どもは何をどうすればいいのかわかりません。
 後者のように具体的に言われれば、やることがはっきりわかって行動に移しやすくなります。

 もちろん、肯定的と具体的の両方を満たすのが難しい場合もありますが、そういうときもとにかく「肯定的」だけは満たすようにしましょう。

 他にもいくつか例を挙げてみます。

「脱ぎっ放しはダメ」→「脱いだら洗濯機に入れてくれると助かるよ」「脱いだら洗濯機に入れよう」

「姿勢が悪いよ」→「背筋を伸ばすとかっこいいよ」「背筋を伸ばそう」

「ちゃんとたたまなきゃダメ」→「服は2回ずつたたもう」「端と端を合わせよう」

「片づけなきゃダメ」→「玩具をこの箱に入れて」

「ゴミだらけじゃない」→「ゴミを10個拾おう」

「ドシドシ歩かないで」→「忍者歩きだよ」

「上に蹴るな」→「ゴロを蹴れ」

「ぐずぐずしないで」→「3分でやろう」

「もう置いてくよ」→「あと2回やったら帰ろう」

 あるいは、「あと何回やったら帰る?」と聞いて自分で決めさせるのも効果的です。自分で決めたから守らなきゃという意識が働くからです。

「早くしないと間に合わないよ」→「7時に出れば余裕だよ」
 あるいは「6時30分になったら着替えよう」はさらに効果的です。なぜなら、7時に出るためには支度をいつから始めるべきかが具体的にわかるからです。

 最後にまとめです。
 親が肯定的な言葉を使うようになると親子関係がよくなっていきます。
 親子関係がよくなると子どもも親もともに自己肯定感が上がります。
 さらには、子どももそういう言葉を使えるようになり、友達関係によい影響が出ます。
 まさにいいことずくめです。

◆本原稿は、『子育て365日 親の不安がスーッと消える言葉集』の著者・親野智可等が子どもに関わるすべての人に伝えたい書きおろしメッセージです。