一方で、イタリア、ベルギーなど家族の結びつきが強いカトリック系の国々では、祖父母が子育てにおいて大活躍していました。アジアの国々でも祖父母や兄弟、叔父叔母など、親類が子育てを支えてくれる社会がたくさんあります。母親だけの育児では無理が生じてしまうのです。
もともと日本は妻の里帰り出産のように、子育てを妻の実家がサポートする伝統がありましたが、令和の今日ではワーキングマザーの力強いサポート役は祖父母です。
夫の家に嫁入りするだけではない
多様化が進む令和の家庭の形
高度経済成長の前までは夫の家にお嫁入りする結婚が多数でしたが、令和の今日、東京のような大都会では妻の実家に同居したり、2世帯住宅にしたり、近くのマンションに住んだりと多様化しています。

坂東眞理子 著
現代の都市生活でも、子どもの送り迎えや学校行事への参加、料理やいただき物のお裾分けなど、娘の家族とは頻繁な交流が行われています。それに対し、息子の家族との交流は同居している場合は別ですが、比較的あっさりとしているようです。地方でも、妻の実家の近くに住む例が増えています。
そうは言っても、娘の親が孫育てをサポートしようと張り切っていたのに娘が「自分で育てたいから」と退職してしまったというケースもありますし、結婚しても仕事を続けたいからと当分出産する気はないケースもあります。思うようにはいきません。
いくら娘がいても、祖父母が常に孫と関われるわけではありません。孫と関わりたい親は娘をしっかり育て、キャリアと家庭を持つ価値観を共有することが不可欠です。
まちがっても「女性の幸福は仕事をしないで良い家庭を作ること」などと言わないことです。そして息子が仕事を持つ女性と結婚したら大歓迎し、孫が生まれたらいつでも手伝うよと言っておくことです。