最終カメラテストで
チーフ・プロデューサーが見たもの

「私も三姉妹ですが、長女で、十代の頃の私は、蘭子と違って一歩引いて家族を見ているというタイプではなかったです。蘭子は家の幸せを第一に考えて働き始めましたが、私は進路を決めるとき、自分の思いだけで動いていて。自分勝手だったなあと思いますが、大人になってからは、蘭子のような目線も持てるようになりました。

 ただ、長女だからこういう性格、次女だからこういう性格というよりは、お互い違うことをやりたがったり真似したくなったり、時には補完し合うこともあれば、反発し合うことも。家族の中で帳尻が合ってくるというか。そういうものなのかなと思います」

 人間というものを冷静に語る。そこが蘭子の役に合っているように感じる。倉崎CPが、オーディションの時の河合の周囲を見る視線が印象に残っていると語っていた。

「最終カメラテストのとき、スタジオ内の環境を人知れず確認していたんです。例えばあそこに時計があるなとか、一瞬で空間を把握するというのか、自分のものにしていて。しかもそれを周囲に気づかれずにさりげなくやっていることがすごいなと思って。それを全て芝居に反映させているわけではないと思いますが、その嗅覚みたいなところにすごく引き付けられました」(倉崎)

 倉崎CPを驚かせた客観性に自覚はあるだろうか。

「落ち着いているね、と言われるようになったのは、高校を卒業して仕事をはじめてからです。幼い頃から一人で遊んでいるようなところもありましたが、学校でリーダーをやることもありましたし、家でもおしゃべりなほうです。自分では変わった感覚はなくて。いろいろな面があって、何かのきっかけで落ち着いたところが前に出てきたのかなと思います。

 仕事をはじめて、いろいろな意味で自立しないといけなくなったとき、落ち着きや冷静な面が強くなったのかもしれないです」

 ドラマでは蘭子と豪(細田佳央太)の純愛が話題になった。戦前、戦中の男女関係を演じながらどう思ったのだろうか。