台本を読んでハッとするのは
やなせさんの言葉からとったものが多い

『あんぱん』の題材になっているやなせたかしの『アンパンマン』にも、子どもの頃から親しんでいた。

「『アンパンマン』は、日本で生まれ育ったほとんどの子どもが、親しんで、一緒に育っていった作品だと思います。アニメを見ていなくても、おもちゃや絵本など、何かしらの商品に触れているのではないでしょうか。私も家に、おもちゃや絵本が当たり前のように置いてありました。

『あんぱん』の台本を読んでいてハッとしたりいいなと思ったりする箇所は、やなせさんの言葉からとったものが多いようです。嵩(北村匠海)にやなせさんの人生をなぞらせているだけでなく、ドラマ全体にやなせさんや『アンパンマン』の考え方が込められている趣向がとても楽しいです。

 そして、命や生死について真っすぐ考えるドラマなんじゃないかと思います。その背景にあるやなせさんの言葉の切実さがとても強い。現代を生きる私はこんなふうにはっきり言い切れないなと感じます」

『アンパンマン』の中で好きなキャラクターはロールパンナ。

「子供向けのアニメのキャラクターだけれど、人間味がある設定で、正義と悪の心を合わせ持っているとは、とても面白いし、かっこいい存在ですよね。ロールパンナの二面性からも、やなせさんの作品にある哲学を感じます」

 昭和の戦争体験者の役を演じることで河合優実の実力がますます向上しそうだ。

 余談になるが『あんぱん』では『不適切にもほどがある!』で父親役だった阿部サダヲが出演している。直接的な絡みはないが、取材会では阿部との関わりを期待する質問もいくつか挙がった。

「阿部さんは初めて舞台でご一緒したときからずっとお世話になってきた大先輩です。どの現場でも、本当にみんなを安心させてくれる。その心遣いを今回も感じています。『あんぱん』の撮影中、日本アカデミー賞をいただいた私に阿部さんがシャンパンをくださったんです。そんな粋なはからいもしてくださるかたです」

朝ドラPが一発で惚れた!蘭子役・河合優実が選考中に見せた「気になる行動」【あんぱん】かわい・ゆうみ/2000年12月19日、東京都生まれ。映画『少女は卒業しない』(23年)、『あんのこと』『ナミビアの砂漠』(24年)、ドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』『不適切にもほどがある!』『RoOT / ルート』(24年)などに出演。第67回ブルーリボン賞主演女優賞、第98回キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞、第48回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞、第49回エランドール賞新人賞など数々の賞を受賞している。
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