とりわけ、日本の高速道路の道路標識はとても不親切です。標識は基本的に全て緑色。そしてほとんどが日本語と英語のみで、簡体字やハングルも少しはあるものの、普及はしていません。これでは、高速を走る外国人がどこで曲がるかを判別するのは相当難しいと思います。
レンタカー協会の統計によると、インバウンドの自動車数は18年度に180万台(その後3年はコロナ禍のため外国人は少なく、最近の統計はまだ出ていません)。日本人でさえ高速での運転は、分岐点やインターチェンジでの乗り降りで、かなり神経を使います。ましてや、一度降りるべきインターチェンジを間違えれば、もう一度目的地に行くために高速に乗るためには、相当迂回する必要があります。今度はカーナビに頼るしかありませんが、ナビも多言語対応のものは70%弱というのが現状です。
もちろん、インバウンド需要は重要な収入源です。ならば、外国人も安心して走れる高速道路をもう少し考えるべきではないでしょうか。
インバウンドのドライバーを惑わす
日本の高速道路の「死角」
私は編集者時代、深夜帰宅が多く、タクシーを使用する頻度が高い人間でした。私がよく使う東名高速の横浜青葉インターは、降りる直前に港北インター(第三京浜)とつながる高速の入り口があり、標識の色が同じでいきなりその路線が出てくるので、ドライバーにきちんと言っておかないと、間違えて港北方向に行ってしまうことがあるのです。
ある夜、標識を見間違えて、タクシーが港北インターの方向に入ってしまいました。港北インターと青葉インターはほとんど地下を走るので、間違えてしまったことはわかっても、どこに向かって走っているかはまったくわかりません。日本人で、常にその道を使う人間からしてこうなのですから、日本語の説明書をもらっただけの外国人による高速道路の走行はいわずもがな。逆走が増えた大きな原因になっているのではないでしょうか。
こうしたトラブルは、高速の入口の標識の色を変えるだけでも、かなりの確率で防げるはず。その手の工夫が、旧道路公団や国土交通省にはありません。
そこで、提案があります。高速道路の標識を、国土交通省やNEXCO中日本のような専門組織に頼らず、人間工学に基づいた標識研究で作り直すのです。