最近も高知県の道路で、ドライバーが自動運転中に着替えをしていたと思しき車が突然急カーブして、対向車に衝突。子どもが1人亡くなりました。前述のように、日本車は事実上、自動運転2が最高レベル。これは、車線を維持しながら前方の車について行ける程度のレベルで、停止機能はありません。しかも事故車は、日本を代表する大手自動車メーカーのものだったようです。
他国では、自動運転による事故は全部車種を公表して、官民で原因の解明を図っています。そうしないと、自動運転技術もこれ以上進歩しないでしょう。
たとえば、テスラは相当数の死亡事故を出していますが、米国ではそのことは公表されています。高知の事故はたまたまドライブレコーダーの記録が被害者の車に残っていて、ドライバーが運転中に奇妙な行動をとっていたことが判明しました。
本当にアクセルとブレーキの踏み間違い?
「逆走・衝突大国ニッポン」の大不安
やたらに起こる追突事故や、店舗や家屋に突っ込む高齢者の暴走も、「アクセルとブレーキの踏み間違い」とばかり報道されていますが、車種を公表することで、「実は自動運転を過信していたせいで事故が起きた」というケースが判明することも少なくないのではないでしょうか。「高齢者が運転していたから」という理由だけで片付けてしまうと、実は自動運転は衝突を完全に回避できるわけではないということが、世間に認知されにくいかもしれません。
衝突防止装置は自動運転装置とは別物であることを周知徹底すると共に、高齢者の運転免許更新においては、衝突防止装置の義務化を図るべきだと思います。
このように、相次ぐ衝突や逆走などの危険運転には、「高齢者のせい」とばかりは言えない原因がありそうです。一刻も早く対策を練らないと、「逆走・衝突大国ニッポン」のリスクは深刻化する一方でしょう。
(元週刊文春・月刊文藝春秋編集長 木俣正剛)