「最近は代表戦に出ていないので、悔しい思いを噛みしめながら代表のユニフォームを着ています」

 心に秘めた思いを明かした長友はポジティブな言葉を紡ぎ、前を向くのも忘れなかった。

「競争に勝って代表に食い込んで、ワールドカップに出るイメージはしっかりとできています」

「突き抜けている」
森保監督が長友に期待している点

 カタール大会後も続投した森保監督は、ベテランの域に達した選手たちをメンバーから外した。4年間にわたってキャプテンを務めたセンターバックの吉田麻也をはじめ、川島永嗣と権田修一の両キーパー、そして右の酒井宏樹、左の長友の両サイドバックは、2023年は一度も呼ばれなかった。

 そこには北中米大会を見すえた、世代交代の意味合いが込められていた。だからこそ、長友の電撃復帰は驚きをもって受け止められた。昨年3月の北朝鮮戦を前にして、森保監督は「一人の選手として選んだ、という点をまず伝えたい」と断りを入れた上で、長友に関して次のように言及した。

「ピッチ外、プレー外のところでどんなときでも反省を怠らず、常にポジティブに前向きに振る舞ってくれる点で長友は突き抜けている。これからさらに厳しい戦いが待っているなかで、彼がもたらしてくれるエネルギーに期待しているし、さらなるパワーアップのために彼を招集させてもらった」

 当時の日本代表が置かれていた状況を振り返れば、長友を復帰させたもうひとつの理由が浮かび上がってくる。昨年1月から2月にかけて、中東カタールで開催されたアジアカップ。大陸チャンピオンを決める公式戦で、優勝の本命だった森保ジャパンは準々決勝でイラン代表に苦杯をなめた。

 アジアカップでは大会を通じて、中東勢のロングボール攻撃に苦しめられた。有効な対策を講じられなかった森保監督に対しては、ネット上で解任論が飛び交った。カタール大会後から順風満帆な成長曲線を描いていた第2次森保ジャパンは失速気味となり、さらに混乱をきたしかけていた。