「批判はエネルギーに変える」
周りの声を気にしないポジティブさ
「エネルギーがあり余っているというか、年をとってからはそういうのがより一層強くなっていますよね。こうして代表に来ると、疲れも吹っ飛びます。そういった意味でも気持ちは大事だと、あらためて感じています。最初のころは若い選手や新しい選手が僕の熱量に引いているというか、ちょっと距離を取られている感覚がありましたけど、練習していくうちに心は近づいていくと思っているので」
北朝鮮に勝利した森保ジャパンは再び右肩上がりの軌跡へ転じ、無敗のままアジア予選を勝ち抜き、3試合を残して北中米大会出場を決めた。チームに長友がいる価値を、あらためて目の当たりにしたからか。森保監督も長友を招集し続け、試合のたびに断腸の思いで登録メンバーから外してきた。
所属するFC東京で、今シーズンの長友は絶対的な存在ではない。ともに途中出場だった直近の2試合では、10日のヴィッセル神戸戦で7分、17日の浦和レッズ戦では3分の出場にとどまっている。ここまで5試合で先発しながら欠場も6試合を数える長友へ、森保監督は次のように言及している。
「チームへ大和魂を注入してくれる選手は、絶対に必要だと思っている。その上でキャラクター、経験、パフォーマンスを含めたピッチ内外のすべてがいつもポジティブで、後輩選手たちに好影響を与えてくれている。自分はできる、日本はできるという思いが日本代表チーム全体に伝わっている」
指揮官はさらに、長友にしかできない役割がさらに増えたともつけ加えている。
「いろいろなアプローチから、後輩選手たちにアドバイスができる。日本代表やヨーロッパでさまざまな経験を積んできた彼だからこそ、選手であると同時にコーチの役割も務めてくれる。現役の選手から同じ目線で言われるほうが、選手たちもよりスムーズに吸収できる場合があると思っている」
ベストの選手が代表に呼ばれる、という原則論から、招集されてもベンチに入れない長友に対してはさまざまな声があがっている。FC東京での現状を踏まえれば、異論や反論も少なくない。それでも「僕は批判をエネルギーに変えて成長してきた」と笑う長友は、まったく意に介していない。