富永:国語の点数をテクニックだけで上げようとする保護者も多いと思いますが、そのアプローチについてはいかがですか。
渋田:良し悪し以前にそれは無理だと思います。文章の理解をしたうえでのテクニックならいいですが、中身の理解なしにテクニックだけで点数を上げることはできません。サッカーでは、まずはボールが蹴られるようになってから、インサイドキックやヒールキックなどの技を練習するのが順序であって、その逆ではないんです。
例えば、模試で得点しようとするあまり、「問題文を読んでから解くと間に合わないから先に設問から読む」「時間短縮のために、抜き出し問題は解かないようにする」などの変な癖を付けてしまうと、実際の入試には対応できなくなります。
いずれにしても、1年生から4年生くらいまでは、ゆったりとした時間を作って本や映画や漫画などでいろいろな言葉や考え方に触れることが大事だと思います。受験を視野に入れて、この学校ではこの作家がよく出るからその本ばかり読むというようなアプローチはあまり良くないですね。本を読むという習慣は一生の財産であって、入試だけのためではないはずです。
保護者はどのように
塾と付き合うべきか
富永:もう一点うかがいたかったのは、渋田先生は塾で保護者の方の相談に細かく対応されているとのことですが、面談をされるのですか。
渋田:面談というより、塾の公式グループLINEでのやり取りが多いです。実は24時間365日体制で相談を受け付けています。入試直前期は、1日100件を超えるメッセージを受け取ります。
富永:1日100件! お一人で全部に回答されるのですか。
渋田:はい。お悩みについては、早期に相談し解決すると、課題が深刻化せずに済むので、実は省力化だともと思っています。数は多いのですが、入試前はお通いの保護者との信頼関係もできているので、メールのラリーは短く速くなるのが分かってきました。
また、私はX(@takayukishibuta)も3年近くやっているのですが、今、世の中の保護者の皆様はどのようなお考えを持っているのかを知る社会勉強だと考えています。しかし、SNS内で解決することはまずなくて、お子様を知るリアルの相談相手は、やはり必要だと思います。
富永:どのような相談が多いのでしょうか。
渋田:私の塾は国語専門ではありますが、全教科見ることができるので、勉強方法についての相談が多いです。たとえば他の塾の宿題の量が多すぎるといった場合は、これとこれだけやればいいとか、この学校を狙うんだったら、こちらに力を入れればいいとか。基本的に「これはやらなくていい」という取捨選択の「捨てる」をアドバイスすることが多いですね。