
迷うことで
「全部をやらなくてはならない」と考える
渋田 それがキャリア形成にどう結びつくのでしょうか。
玉木 いろんな考え方がある中で、自分のこれからの生き方について中1や高3では決められなくて迷う。そうすると、子どもたちは全部をやらなくてはならないと考える。1個に決めてしまえば、決めたものに付随することだけ学べばよいわけで、楽なのです。
迷っているということは全部を学んでおかないと、最終的に、その中のひとつを選んだときに対応できなくなる。
渋田 だから幅広く学ぶ必要があるということですね。
玉木 迷いの中からすべてのことを貪欲に学ぶという姿勢を見出す。それができるようになってくると、進学でも、選択肢の広い学校を選ぶということになる。東大が多くなるのは、入学時に進学先を決めなくてもいい、つまり選択肢の広さを見た結果ということになるのかなと思います。
迷った末に、海外に行く子もいれば、最終的に医学部や、データサイエンス学部のようなやることが決まっている学部を選ぶ子もいます。あらゆるタイプがいるということです。
渋田 インターンシップもされていますね。
玉木 高1のキャリア教育の特徴的なプログラムです。全員が企業でのインターンシップを経験し、その後、夏休みの宿泊研修で、その内容をもとに人生設計について語り合う時間をつくっています。そこでも、机上の人生設計に揺さぶりをかけ、がちがちに固めたキャリア設計や答えをつくる必要はないんだということをわかってもらう。