「誰でも狙われうる時代」の到来

高齢者や富裕層だけでなく、今や一般家庭や若い世代も詐欺のターゲットになる時代です。

SNSやネットバンキングの普及により、個人情報が知らぬ間に流出し、不正利用されるケースも増えています。つまり「自分は関係ない」と思っている人こそ、狙われやすいのです。

詐欺を見抜く“5つのチェックポイント”

では、詐欺の可能性がある訪問者や電話、メールにどう対応すればよいのでしょうか? 基本となるのは、次の5つの確認です。

1. 身分証の提示を求める
2. その場ですぐに判断・契約をしない
3. 公式な連絡先から再確認を取る
4. 「不安」を感じたら信じない勇気をもつ
5. 家族や信頼できる第三者に相談する

これらは、シンプルですが強力な“自衛の武器”になります。

富裕層の「人づき合いのルール」に学ぶ

私が相続税調査で接してきた富裕層の多くは、第一印象ではとても丁寧で感じの良い方が多かったです。しかしその一方で、相手をよく観察し、必要なときにはきちんと裏どりをされていました。

これは「人を疑う」というより、「人との距離感をうまく保つ」ための習慣です。日常でもこの姿勢を応用すれば、しつこい勧誘や詐欺に巻き込まれるリスクをグッと減らすことができます。

「確認すること=失礼」ではない

「身分を確認するのは失礼ではないか?」と感じる方もいるかもしれません。しかし、相手が本当に公的な立場の人や、誠実な営業であれば、確認されることに対して嫌な顔はしません。

むしろ、きちんとした対応をされる人ほど「信頼される」傾向があります。

これからの時代に必要な“信頼の築き方”

これからの時代、「信用」は一方的に寄せるものではなく、双方向で築くものです。「確認されても不快に思わない」「相手に安心してもらう配慮をする」――そんな“新しい礼儀”が、これからの人づき合いには求められているのかもしれません。

品格と警戒心をバランスよく

富裕層に限らず、どんな立場の人でも信頼と用心のバランスを取ることは今後ますます重要になっていきます。

礼儀正しく、でも油断はしない」――そんな姿勢こそが、現代を安心して生き抜くためのひとつの“資産”になるでしょう。

※本稿は、『元国税専門官がこっそり教える あなたの隣の億万長者』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。