つまり、親子連れの顧客がストレスなくゆったりと買い物体験ができるよう設計されているのです。

利益の源泉はここにあり!
驚異のローコストオペレーション

 西松屋と赤ちゃん本舗の営業利益率の差を分析してみましょう。

 2023年度の有価証券報告書と決算公告をもとに計算してみると、西松屋の営業利益率は6.7%、赤ちゃん本舗は1.5%です。その差がどこから生まれるかというと、主に原価率と販管費率です。西松屋の方が、原価率が1.3ポイント、販管費率が3.9ポイント低くなっています。
※2023年度の有価証券報告書(西松屋)、決算公告(赤ちゃん本舗)を基に著者が算出。赤ちゃん本舗は営業収入を除いて営業利益を算出

 さらに、この差により、販管費率÷売上総利益率で簡易に試算した売上高損益分岐点比率(売上高に対する、企業が利益を出すために必要な売り上げである損益分岐点売上高の割合。一般的には低い方が安全性が高い)は西松屋が81%、赤ちゃん本舗は95%となり、西松屋の方が売り上げ減少による赤字転落に対する耐性が高い構造を有していることが分かります。

 西松屋と赤ちゃん本舗の営業利益率の差(約5ポイント)は、主にこの原価率の差と販管費率の差によって生み出されていると考えられます。

1.原価率の低減努力:PB比率の高さが鍵

 まず原価率についてです。小売業において原価率を低く抑えるための有効な手段の一つが、PB(プライベートブランド)商品の強化です。西松屋は、衣料品を中心にPB商品の開発・販売に非常に力を入れています。

2.販管費の徹底圧縮:これぞ西松屋流「ガラガラ経営」の真髄

 そして西松屋の収益性を支えるもう一つの柱が、販管費の徹底的な圧縮です。その核となるのが、徹底した標準化と、それを可能にする驚くほど少人数のオペレーション体制です。

 西松屋の店舗運営は、徹底的に効率化、標準化されています。