日本的感性と20%燃費向上で
世界初ノンストップ米大陸横断へ
まず、ホンダジェットが5人乗りクラスジェット機で1位だった人気の秘密を振り返りたい。それは、これまでにない発想と技術を取り入れて設計・開発されているところにある。
業界の常識を覆し、翼の上にエンジンを設置することで機内空間を広くすることに成功した。また、扉を開いて外側に押し出すと、そのまま乗客が乗り降りするときの階段、つまりタラップになる。さらに、その階段となる扉の裏に飲み物のカップ置きを設けるなど、「空間を最大限利用する」という「日本的感性」が随所に生かされている。
ただし、小型ジェット機で最も普及しているのは8~10人程度が乗るクラスだ。そこで、ホンダジェットも今より一つ大きなクラスに参入しようと、最大11人が搭乗可能なライトジェット機の開発に取り組んでいる。
その名も「HondaJet Echelon(エシュロン)」。この次世代機にも、やはり新しい発想と技術を取り入れようとしている。それは、同クラスの従来機に比べて20%も燃費を向上させることで、ライトジェット機として世界で初めてノンストップでのアメリカ大陸横断を可能にしようというものだ。
先術したとおり、内外からの夢と期待とは裏腹に、ホンダの航空機関連の営業損失は388億円に積み上がっている(25年3月期)。しかしこの次世代機を出すことで30年前後にも黒字化を狙うという。
筆者も、次世代機の戦略が成功すれば、北米での巻き返しは大いに可能だろうと考える。そして、日本でも飛行許可が下りれば、ビジネスチャンスは格段に広がると思う。
何しろ今、訪日外国人数が過去最高を記録するなど、インバウンド需要が急拡大している。ホンダジェットを日本国内で利用するなら、日本人・日本企業よりも外国人富裕層、インバウンド観光における伸びしろが大きいだろう。

