オーディオ沼の世界へようこそ
フェルディナント・ヤマグチ(以下、F):今日はよろしくお願いします。ちょうどいま真空管アンプでオーディオセットを組み上げている最中でして、音づくりにハマっているところなんです。そのタイミングで「ヤマハに音づくりの職人集団がいる」と三菱の方に伺って、お話を伺おうと押し掛けた次第です。
ヤマハ 音楽事業本部 モビリティソリューション事業部 開発1部 サウンドデザイングループ 主事 サウンドマイスター 疋田智一さん(以下、疋):おお!真空管ですか。沼の世界へようこそ(笑)。オーディオにハマるのはとても危険ですよ。底なし沼です。

F:のっけからご無礼を申し上げますが、サウンドマイスター(疋田さん)が意外と普通の人なので驚きました。「音づくりの職人さん」と聞いていたので、白髪ロン毛で薄いサングラスをかけて眉間にシワを寄せて、いきなり「違う!」とか鍵盤を叩いてブチ切れるような……。何というか、もっと変人が出てくるのかと思っていました(笑)。
疋:スミマセン、普通の人で(笑)。次にお会いするまでにはロン毛にしておきます(笑)。
F:ヤマハの社員さんは、やはり音大を出ておられる人が多いのですか?
疋:私自身はいわゆる音楽系の芸術大学を出ていますが、別に音大出が多いというわけではありません。ただ、もともと音楽をやっていたという人は非常に多いです。
F:ヤマハに入社するなら、やはり音楽をやっていた人の方が有利になるのですか?
疋:それはないと思います。それよりも自分の得意な分野を音楽にどう活かしていくか。そういう発想ができる人を求めていると思います。そして実際にそういう人が多いです。
F:別に楽器や音楽ができなくてもヤマハには入れるんですか。
疋:もちろんです。周りにはやらない人もたくさんいます。