秋:難しいというか、万能なものと何かに特化したものに比べたら、やはり特化したものの方が、より良いものにはなりますよね。

F:なるほど。しかし値段が高くなる。そして重くなる。

秋:その通りです。だから全てのクルマに載せられるわけではありません。ちなみにシート下に置いてあるアンプは、880ワットの出力があります。

F:それは大変なパワーですね。

秋:そうですね。ですが実のところ、この「出力」は初めから何ワットにしようと目標数値を決めてつくったわけではありません。でき上がったものを測ったら880ワットだった、という感じです。我々はカタログスペックを追いかけているわけではありませんので。

F:クルマじゃないから馬力数にはあまりこだわらない。

スピーカー12個は、ハイエンドなクルマなら全然多くない

秋:でも一方で世の中的にはカタログに載る数値は問われますよね。カーオーディオだとスピーカー数とワット数。これが大事。

F:それは分かります。ワッテージが高くてスピーカーが多いと、何となくパワフルでありがたい感じがしますもの(笑)。

秋:そうそう、そうなんですよ。そういった意味でいうと、今回の12スピーカーは全然多くないんです。今の世の中、ハイエンドだと20個超えのクルマがゴロゴロありますから。

F:スピーカーの数が多ければ多いほど、いい音が鳴るのですか?

秋:ヤマハにはヤマハの、他社さんには他社さんの考え方があるということをまず前置きさせていただいた上で申し上げます。我々は、別に数が多ければ音が良くなるものではありません、と。必要な数をちゃんと考えて、必要な分だけ用意することが大事だと思っています。

F:「本当は20個にしたかったのだけど、それじゃ値段が高くなりすぎるし、12個にしておこうや」とか、そういうことではありませんか?

秋:ないです。断じてない。