「自分の声が嫌いだった」原菜乃華が“ご機嫌な人間”を演じきるまでに起きたこと【朝ドラ『あんぱん』】第71回より

メイコを演じる上で
意識しているのは「爽やかさ」

「メイコはみんなに愛される末っ子。張り詰めた空気の中でちょっと笑ってもらえるような、緊張感をちょっと和らげるような存在になれたらいいなぁと思いながら演じてきました。

 戦争パートでは、誰もが自分の気持ちを押し殺し我慢するなかメイコのように喜怒哀楽をしっかり出して、素直に悲しんだり喜んだりできる子がいると、バランスがいいのかなと。私の役割はそこなのかなと思って演じていました」

 原さんが言うように、のぶは軍国主義に邁進し、蘭子は戦争反対で、どちらも深刻。大人たちも忍耐している。そんななかでメイコの天真爛漫さが救いになった。演技をしているとき以外の普段からもそういうキャラでいようとしていたのだろうか。

「前室(スタジオの前にある待機する場所)から意識しているわけではないですが、のぶ姉ちゃんも蘭子姉ちゃんも、演技だけでなく、普段から“姉ちゃん”でいてくれて。お二人と一緒にいると、私の明るい部分が自然と出てくる気がしています」

 原さんのなかでは、朝ドラヒロイン、あるいは朝ドラでメインキャラクターの人物はやはり「爽やかさ」があると言う。さらに彼女はこう付け加えた。

「毎朝見ていても飽きないということでしょうか。それから、やっぱり多くの人に共感してもらいやすいようなキャラクターです。毎日顔を見るのが楽しみと思うような人なのかなと思っています」

「明るく元気で爽やかで、毎日見ていて飽きない」イメージのある原さん。そういう人でいるためには何が必要だと思うか、あるいは普段から気をつけていることはあるだろうか。

「明るく爽やかで元気と言っていただくことが多いのですが、それは役に助けられている部分が大きいと思います。例えば、病気を患っている役をやると、ふだんから全然しゃべれなくなってしまうこともあるんです。

 今回、メイコという役を長く演じていると、やっぱり気持ちが明るくなります。つまり、役に救われているのかなと思っています。どちらかというと、自分と違う役をもらうと、よりまた自分の違う面が出てくるから楽しめるというか、やりがいがあるという感じなんです。

 それは『役に入っている』というようなかっこいいことではないんですよ。自分の中に明るい面も暗い面もあって、役に合わせていろいろな面を出しているだけであって、全部が自分だし、自分のいろいろな面がすべて役に使えると思いながらやっています」

 こういう話をするときも声が澄んでいて、聞いていて明るい気持ちになる。話し方に気をつけていることはあるだろうかと聞くと、意外な答えが返ってきた。