製薬会社にものしかかる重責
当事者たちが語る現状とは
ハイカムチンの製造販売元である「日本化薬」も、安定供給のために懸命な努力を続けている。
「海外製造所からの輸入遅延につきまして、弊社としても製造委託先について計画的な製造発注、製造計画の確認、適切に製造が実施されているかの監査を行い、安定供給に努めております。
製造現場におけるトラブルなどを折り込み、一定量の在庫を抱えることで供給に支障のない量を確保するよう尽力しておりますが、過剰な在庫や毎年の薬価改定の中で事業運営に与える影響は少なくなく、また有効期限もあるため対応に苦慮しております。
本製造に関する逸脱につきましては、ロットごとに確認後、順次輸入を開始しており、一定の在庫確保後、出荷を再開する予定です」
製造に関する逸脱とは、通常と異なる作業を行ったことや、通常と異なる現象が起こったことなど、通常の製造の手順で定められたこと以外のすべてを指す。
前述の回答の後、6月2日には、「今回の当社の事例では、逸脱を調査した結果、品質には影響がないことが確認できましたので、順次確認がとれたものから出荷をしております」との連絡もあった。
ひとまず危機は脱したのかもしれない。ただし、インターネット上では6月17日現在、出荷再開の情報共有はまだなされていないようだ。それに同剤は2016年にもGMP(医薬品の製造管理及び品質管理の基準)上の問題と原薬の調達に係る問題が発生したとの理由から供給停止に陥ったことがある。やはり一社だけ、それも海外での製造というのはリスクが大きいのだろう。