だからこそ、5%社員は、残りの2冊を「偶然の出合い」に費やしているのです。

 残りの2冊は、いわば「セレンディピティ」のための選択です。読書のセレンディピティとは、予期せぬ知識やインスピレーション(刺激)との出合いを指します。

 たとえば、書店で何気なく手に取った1冊が、思いがけない発見をもたらしたり、自分の仕事に新しい視点を与えてくれたりすることがあります。また、普段は読まない分野の本に挑戦することで、新しい興味や可能性を見出すこともあるでしょう。

 このように、「セレンディピティ5対2の法則」は、専門性を深めつつも、常に新しい刺激を取り入れる仕組みなのです。

「成功したキャリア」の8割は
予期せぬ出合いによるもの

 この法則を実践することで、知識の幅を広げ、柔軟な思考を身につけることができます。そして、それこそがイノベーションを生み出し、変化の激しいビジネス社会を生き抜くために必要な力なのです。

 まずは、自分の専門分野や課題に関連する本を5冊選んでみてください。そして、残りの2冊は、普段は手に取らないジャンルや、友人のおすすめなどから選んでみましょう。本屋で偶然見つけた一冊でもいいかもしれません。大切なのは、自分の知的好奇心に正直に従うことです。

 実は、私たちのキャリアの多くは、偶然の出合いによって形作られていると言われています。キャリア論の権威であるクランボルツ教授(編集部注/ジョン・D・クランボルツ)の研究によれば、成功したキャリアの8割は、予期せぬ出合いや機会によるものだそうです。

 だとしたら、読書を通じて偶然の出合いを増やすことは、とても意味のあることではないでしょうか。本との出合いは、新しい知識や視点だけでなく、人生を変える一歩になるかもしれません。