過去30年間にはなかった動き
賃金上昇でデフレ脱却の日も近い
もう一つ、認識しなければならないことがあります。2023年から兆候が見え始め、2024年に本格化したことです。
それは、「賃金の目立った上昇」。大企業が続々と「賃上げ」に動いているニュースを、すでに多くの方が目にされているはずです。賃上げは、物価の上昇によってもたらされました。
これも、やはり過去30年間にはなかった動きです。
日本の物価は上昇せず、賃金も上昇しない。長い間、このように考えられてきましたが、ついにその長く暗いトンネルを抜け出す気配が見えてきました。これについては、その理由を究明することに執着する必要はありません。事実としてそうなっていることを認識し、評価することが重要です。
日本経済は近いうちに、デフレから抜け出すでしょう。経済活動が停滞し、物価が上昇しないことで賃金も上昇しない、悪夢のような循環に終止符が打たれるのです。日本政府は、足元の明確な物価上昇を目の前にしても、まだ「デフレ脱却宣言」をしていません。賃金の上昇が物価の上昇に追い付いていないことが、その主な理由です。しかし、昨今の状況を踏まえると、そう遠くないうちに、デフレ脱却宣言に踏み切るでしょう。政府が「デフレ経済の悪循環は終わりました!これからは、インフレの時代です!」と声高らかに宣言するわ
けです。
株価は、常に実体経済を先取りして動きます。
2023年春頃からの株価の上昇は、こうした日本経済の大転換を織り込む動きです。また、今後のインフレ経済を見越した動きになるでしょう(すでにそうなり始めています)。
日本経済が長いトンネルを抜け出したことを察知した株式市場の動きは、まだ始まったばかりです。これまで株価の上昇と言えば、米国を中心とする海外市場の上昇に連動するものでした。驚いたことに、米国の主要な株価指数であるS&P500指数は、この30年間で十数倍になっています。
今後は、日本が主導する形で、日本の株式市場は30年の遅れを取り戻していくと考えています。日経平均の史上最高値4万2224円02銭(終値)は通過点です。