東京五輪の若い世代の活躍にみた未来の体育

 東根氏は、2021年の東京オリンピックで、スケートボードの西矢椛選手が13歳で金メダルを獲得したシーンに、子どもと運動のあり方が凝縮されていると言う。

「みんなで仲良くして、称え合うわけじゃないですか。SNSに練習や競技動画をアップし合って、すごいじゃんとかコメントしたり、オープンにやってるじゃないですか。まさにこれからのスポーツのある姿だと思いますよね」(東根)

 ただ、今「運動神経が悪い」と思って悩んでいる子どもや大人にとって、いきなり運動を楽しめるレベルに到達するのは、難易度が高い。どうすれば、運動とうまく付き合えるだろうか。

「個人でやるスポーツがいいと思います。例えばオリンピックの種目で言うなら、射撃やアーチェリー、馬術だとか、そういった個人競技の方が自分の世界に没頭してできるスポーツだから相手のことはあんまり気にしなくても大丈夫」(東根)

「もっと広く考えると、日常の動作も運動なわけです。例えば手を動かして何かを書くのも運動だし、川遊びも運動です。みんなと一緒に体を動かすことをやっていても、その中には一人でできるような運動があるので、ちょっと得意なことを見つけて、体を動かすって楽しいなと思って欲しい」(大羽)

 適度に運動することは、健康のために良いことは間違いない。「自分は運動神経が悪い」という思い込みをなくして、運動を楽しめるように自分の視点を変えていくことが、うまく運動と付き合っていく方法のようだ。