社外講師(外部講師)による研修が良いのかと言うと、そうでもないのです。私は20年以上も研修業界にいる研修のプロですので、この業界をよく知り尽くしています。ひどい実態を包み隠さずお伝えします。
内容こそアップデートされてはいても、手法がアップデートされていない時代遅れの研修が大半です。
私は「シャンシャン研修」と名づけているのですが、いまだに30年以上前と同じスタイルの研修をしています。
恐らく皆さんも入社後、研修と言えば、ほぼ確実にこのスタイルの研修を経験することとなるでしょう。
研修を担う講師たちにも
根深い問題が山積み
まず、エージェント会社から派遣されてくる雇われ研修講師は勉強不足の人が多く、業界ごとに異なる特徴や特殊性を全く把握していないため、当たり障りのない一般論を展開します。受講者に全く刺さらないのです。
その後、研修講師は、参加者を4人から6人のグループに分け、テーマを与え、グループディスカッションと称して、1時間以上も(場合によっては数時間も)放置します。
その間、ひどい講師になるとお客様である企業側に用意させた講師用の控え室にこもりスタバのコーヒーをすすりながら、SNSに投稿するなど暇つぶしをしています。
受講者は研修講師から、時間内に大きな模造紙にマジックでディスカッションの内容をまとめるよう指示を受けています。
発表前提のグループワークですから、内容によっては、本音の話ができなくなってしまいます。
もちろん受講者は十分に賢いので、講師が求めている答えや講師が喜びそうな答えを知っています。
自然と日本人特有の忖度が働いてしまうのです。
だから、模造紙に書き出された内容は、本音ではなく建前ばかりです。
そして、ディスカッション終了後、それぞれのグループが順番に、みんなの前で模造紙に書いた内容を発表するのです。
講師は、それぞれの発表に対して、「よく吟味された素晴らしい内容ですね」みたいな、どんな内容の発表であっても通用する、当たり障りのないコメントをします。
みんなで拍手して、終わり。次のグループの発表に移り、全グループの発表が終わるまで、延々と同じことが続きます。
このような「シャンシャン研修(いわゆる出来レース的な研修)」が常態化しているのが現状です。