たとえば社内の役員と会食に行ってどんな物事の見方をするかを知ったり、勉強会や大学院など社外の経営層の方の話を聞く機会に参加したりして学んでいく。

 経営者と話ができないと、いくら現場の人材として優秀でも上に行くのは難しい。行けても部長が限界だと思います。言い方を変えると部長職あたりからマネジメント視点を持ってさらに上に行ける人、そこが限界の人の二種類に分かれると言えます。

「経営者と会話できる」能力が
現場での成果にもつながる

 この「経営者視点」の有無は、現場で成果を出していくうえでも非常に大切です。この視点を持ち合わせて、顧客企業の経営者層と会話が成立する人には、経営者と仕事をする機会が生まれます。そして経営者はその会社の中で大きな意思決定をするので、より大きな取引に関われるようになっていきます。

 人材紹介会社を例に取れば、顧客企業の経営者からみて歯応えのある会話ができる人は、「実はこれから新規事業を立ち上げるので、いい経営幹部候補を探しているんだけど……」といった相談を直接、早い段階でされるようになります。

 他社より早く話を持ちかけられるので独占案件になりますし、経営幹部の紹介なので単価もより高くなります。これは経営者視点を持って社長と話せるようになった効果です。

 逆に経営者の言っていることが理解できない営業だと、重要な話をしても無駄になるか、かえって混乱を生じさせかねないので、機械的に任せられるような仕事しか依頼されなくなっていきます。

部長になって過労で退職する人も…
転職のプロが到達した「達観の境地」

 ただし、出世には「運」も大きく作用します。時代の変化で今まで日の当たらなかった部門に焦点が当たれば、その部門で頑張っていた人が出世しやすくなりますし、政府が女性活用を推進すれば、それまで出世する機会が限られた女性の昇進が促進されるわけです。