これらは第三者が、星野リゾートの公式ホームページなどを見て許可なく転売したものとみられる。もちろん正式な手法ではない。だから先述したトラブルをはじめ、中には休館日にもかかわらずアゴダで予約した客が現地を訪れてしまうなど、星野リゾート側も想定外の事態が発生している。トラブルが年間300件ほど発生している施設まであるという。
アゴダの名指し批判は、星野リゾートにとどまらない。ビジネスホテルを全国展開する東横インも、注意喚起を発表。第三者によって海外予約サイトで転売された空室枠の予約に関するトラブルを「ホテル側では対応できない」という旨を伝えている。
同様の事態が、宿泊施設だけでなく航空会社でも発生している。名古屋空港や静岡空港を拠点にローカル線を展開するフジドリームエアラインズ(FDA)も、注意喚起を発表。海外旅行サイトと「旅客取扱代理店契約」を締結していないこと、第三者によって予約・発券された航空券の転売に関しては、FDAからは払い戻しができないことなどを伝えている。
宿泊業界も航空業界も怒り心頭のアゴダ問題。実は、観光庁は3月にアゴダに対する業務改善を要請し、アゴダ側は4月に改善策を提出していた。
しかし、星野リゾートや東横イン、FDAが注意喚起を出したのは6月のこと。つまり、アゴダ問題が全く解消されていないため、個別企業も動かざるを得なかったのだ。
その後、アゴダは7月15日付で「トラブルが頻発しているとの報道が相次いだ直後の6月26日付で、不正行為が疑われた業者を経由して確保した空室の取り扱いをやめた」と発表したそうだが、筆者が7月12日時点で検索したところ、転売と思われる掲載があったのは前述のとおりだ。

