部下から大きな成果を引き出すのに、
わずかな時間しかかけない

 主人公が、「参画型」や「成果指向型」を自称するマネジャーにはたくさん会ったが、「1分間マネジャー」などという言葉は聞いたことがないと驚き、尋ねます。

「エッ、なんとおっしゃったのですか」
 マネジャーは笑ってこういった。
「わたしは<一分間マネジャー>だ。部下から大きな成果を引き出すのに、ごくわずかな時間しかかけないので、そのように自分で称しているのさ」(29ページ)

 こうして主人公は1分間マネジャーの部下たちを訪ね、3つの秘訣――「1分間目標設定」「1分間称賛法」「1分間叱責法」――を学んでいきます。

 たとえば第一の秘訣、「1分間目標設定」について、1分間マネジャーの部下との対話を通して学んだ主人公は、以下のようにまとめます。

<一分間目標設定>とは
1. 自分の目標について同意(納得)し、承知する。
2. 良い行動とはどういうものかを知る。
3. 目標は一つずつ、二五〇語以内で一枚の紙に書きつける。
4. 各々の目標を何回でも読み直す。だが、どの目標も読むのに一分とかからない。
5. 一日のうちで、ときどき、一分間使って自分の目標達成具合を調べる。そして、
6. 自分の行動が目標と合致しているかどうかを調べてみる。(44~45ページ)

 

世界中のマネジャーが読む基本書<br />1時間で読める寓話に込められた、3つの秘訣の奥深さ翻訳版よりもひとまわり大きい原書。2011年に、刊行30周年を記念して出された新装版です。

 平易ですが、目標は上から一方的に与えられるものではなく、自分が同意(納得)することからスタートしており、自立したビジネスパーソンのあるべき姿が示されているといえるでしょう。

 目標設定を基本として、第二の秘訣である1分間称賛法、第三の秘訣である1分間叱責法が、「1分間マネジャー」の部下たちによって語られ、彼ら自身が成長して今や1分間マネジャーになろうとしていることも示されます。