それでも、まだ無償で何かを提供するということには抵抗がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 ビジネスにおいて、何かをしてあげることは必ず対価が発生するものです。それを無償で行うことは、そのビジネスとしての関係を崩すことにもなるので、そうやすやすとは受け入れられない、とお考えになるのは極めて当然のことと思います。

 そこで、貢献をすることが重要である背景を2つご紹介しておきましょう。

 1つ目は、インターネットによって情報の価値が大きく変化したことがあります。

 かつては、情報をいかに持っているか、情報を持っている人をどれだけ知っているか、といった部分に非常に大きな価値基準が置かれていました。

 例えば、相続税の問題に悩んだとき、この解決のための情報を獲得するには、税理士に頼むか、あるいは書店に行って書籍を探して読み込むことにより知識を獲得するようなことしかできませんでした。

 相続税という情報を手に入れることにコストや時間が多大にかかっていた時代、こうした情報を無料で提供することはありえませんでした。ところが、今は相続税について悩んだとしても、検索してしまえばすぐに答えが出てしまいます。相続税のもっと深堀りした問題、例えば生前相続についても検索すれば、それこそ何百、何千の検索結果が出てきます。つまり、単純に情報を知っていることにはほとんど価値が無くなっているのです。むしろ、その情報を使っていかに問題を解決するのか、ということのほうが重要視されてきているのです。

 そのような時代に自分の持っている情報を囲い込んでもほとんど意味がありません。むしろ、検索して得られるような情報なら、それを知らないという顧客にはどんどん提供していきましょう。

 2つ目は、相手に貢献することにより、信頼を得られるからです。

 自分を知ってもらい、選んでもらう理由を提供するだけでは、強い関係づくりにはつながりません。そこに相手が自分を選びたくなる理由を提供することが重要であり、それが信頼です。

 つまり、顧客の信頼を積み上げていかなければ、最終的にはパーソナルブランドを構築することはできないということです。実績や経験がなければ、信頼は構築できないと考えている人も多いと思いますが、決してそうではありません。実績がなくても信頼を生むことは不可能ではありません。そのキーワードが「相手に与える」つまり「貢献」なのです。